「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第149回
馬鹿にできないビンチョウマグロ

毎週木曜日の夜、TBSラジオに生出演している。
かれこれ6年ほど続けていることになろうか。
「アクセス」という番組で担当しているコーナーは
「オカザワのよく効く経済サプリ」。

スタジオと電話で継ぐのだが、
ナビゲーターはかなり頻繁に代わる。
始めた頃は小島慶子。続いて蓮舫。
そのあとが伊藤聡子。それから山本モナ。
現在は渡辺真理。(敬称略)
こうして振り返ると、そうそうたるメンバーだ。
しかも話題性もさることながら、みなそれなりの美女。
ラジオでもルックスはなおざりにできないのだ。

出番が回ってくるのは23時30分前後。
華モクのその時間までシラフでいるのは
ちょいとばかり酷なハナシ。
酔態をさらさぬ程度に自重しながら
飲むことにしている。

つい先日。クロマグロとミナミマグロの
漁獲制限をテーマに話していた際、
ビンチョウマグロの食味は極端に落ちるなどと
口走ったところ、数週間後にラジオを聴いていた
高校時代の友人からそのビンチョウマグロが届いた。
人生のほとんどを食品関係一筋に費やし、
業界ではちょいと名の知られたお兄ぃさんはT川クン。
ビンチョウのトロ、いわゆるビントロは
捨てたモンじゃないから食べてみてくれとのこと。
発泡スチロールの中に大トロ部分が何本も並んでいる。
国内で手に入るうちでは最高級品のようだ。

さっそくいただきやしたよ。
まずは刺身で。かなりの脂が乗っている。
醤油と日本酒の同割りに漬け込み、
即席のヅケなどもこしらえてはみたものの
やはりクロマグロにはかなわない。
これは仕方があるまい。

後日、一晩漬け込んだヅケを焼いてみた。
生で食べられるのだから、火の通しは浅め。
ステーキに例えるとミディアムレアとレアの中間。
箸で崩して1切れ舌に乗せる。う〜ん、いい味だ。
しっとりとした肉質も文句なし。
精妙な焼き方の賜物と、ここは自画自賛。
これなら並のカジキマグロよりずっと美味い。

日本酒に漬けたのだから、当然日本酒にはピッタリ。
加えて焼酎や赤ワインとの相性もなかなかのもの。
炊き立てのごはんにもうってつけだろう。
かくしてビンチョウマグロを
馬鹿にしてはならじと、反省することしきり。
この場を借りて、T川クンにあらためて感謝。
持つべきものは友だちだ。

こうなるといろいろ試してみたくなるもので
今度は振り塩をしてしばらく置き、
赤ワインとヴィネガーとオリーヴ油を
混ぜ合わせたところへ
生ニンニクのスライスと一緒に漬け込む。
これにセージを散らして、オーヴンで焼き上げ、
南イタリアの安価な赤で味わうと
もはや気分は、オー・ソレ・ミオ!
あといくつかの「私の太陽」は
我が家の冷凍庫で静かに眠っている。

 
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2007年1月25日(木)

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