「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第150回
誘われてフラメンコ

ちょうど1年前、銀座の行きつけのバー「M」で
日本のフラメンコ界の第一人者、
長嶺ヤス子さんに偶然お目にかかった。
「M」のママとは古いお付き合いのようで
彼女を介してイントロデュースされた次第。
ちょうどその日は長嶺さんの誕生日。
居合わせた客は、みな揃って祝杯を傾ける。

その縁あって、以来たびたびお誘いを受け、
公演に出掛けてゆくこととなった。
つい先日も五反田の「ゆうぽうと」に赴いた。
出し物は「裸足の伯爵夫人」。
拝見するたび、年齢を感じさせないパワーに圧倒され、
こちらも元気をもらって帰ってくるのだが、
彼女には失礼ながら、ああなるともうバケモノですな。
ほとんどの公演に共演するために
バルセロナからやって来るイサック・バルベロが
またすばらしいダンサーで、彼の踊りも大きな楽しみだ。

舞台がハネたあと。
この界隈は空腹を満たす店の選択肢が多い。
不動前に出て、居酒屋の「太田屋」か
焼肉の「ぱっぷHOUSE」という手もあるし、
五反田駅周辺なら、ありすぎて困るほど。

ハッと思いつき、以前訪れたことのあるピッツェリアへ。
同行の諸氏に打診すると、反応はおおむね良好。
しかも会場からは至近距離ときた。
もともとローマあたりのピッツェリアは
21時を回らないとピッツァを焼き始めない。
時間的にもお誂え向きではないか。

かくして到着したのはビル8階の「イル・パドリーノ」。
キリンのハートランドで乾杯し、
赤ワインはタウラージとキアンティ。
シチリア産に多いネッロ・ダーヴォラ種よりは
なじめるものの、アリアニコ種の
タウラージはどうも好きになれない。

アンティパスティは、真鱈白子のムニエル、
牡蠣の香草バター焼き、蝦夷鹿のカルパッチョ。
中では今朝方、北海道から届いたという鹿肉がベスト。
香気じゅうぶんにして、臭みはまったくない。

唐墨とトビ子のスパゲッティーニ、
うずらラグーのガルガネッリ、
エミリア・ロマーニャ風のラザーニャを
みんなでシェアしていると、
お待ちかねのピッツァ・ロマーナ(ローマ風)が登場。
モッツァレッラを水牛のミルクの
いわゆるブッファラでお願いしてある。
アンチョヴィ・オレガノ・バジリコがあしらわれて
風味は立っているけれど
どうしたことか、ちょいと水っぽく感じた。

ワインが少々残っていたので
豚のスペアリブのボリートを追加。
一同気に入りのセポッレをお替わりして一緒に。
セポッレというのは
岩海苔を練り込んだ揚げフォカッチャ。
ピッツァの代わりにこれだけ食べても満足のゆく
この店の小さなヒット商品なのだ。

 
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2007年1月26日(金)

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