「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第154回
尾張名古屋の鰻騒動 (その4)

かくして鰻騒動は終焉を迎え、
その夜は山本一力作「あかね空」の舞台を楽しむ。
贔屓の松村雄基が第1幕・第2幕ともに
現れずに気をもんだのだが、
第3幕ではいいとこ取りのカッコいい役回り。
あとで聞いたら、ほかの役者さんに
ヤッカミを受けるほどだったそうだ。
演出の江守徹に嫌われているんじゃないかと
気がかりだったけれど、とにかくよかった。

芝居がハネたのち、雄基を囲んでの宴席は
昼に訪れた「五代目 いば昇」近くの「加寿也」。
活魚が評判の和食屋さんだ。
たまたま雄基とは同期で仲のよい新派女優の
石原舞子も名鉄ホールで浜木綿子主演の
「肝っ玉姐さん奮闘記」に出演中。
彼女も駆けつけてくれ、座はいっそう盛り上がる。

今夜の目玉は幻の魚の異名を取るクエ。
刺身・あら煮・鍋と楽しんだが、
このサカナはやはり鍋が一番。
同じ仲間のアラやハタも概して鍋がよろしい。
2つの鍋に貴重な肝が1片ずつ入っており、
これは奪い合いをせずに、仲良く分け合う。
こういう些細なことから友情は深まるものだ。

麦焼酎の舞香、芋焼酎の富乃宝山のボトルが
次々にカラになってゆく。
しこたま飲んでもなお食欲旺盛な向きは
雑炊まで平らげ、一同飲み直しに夜更けの街へ。
近所の「カサ・ハヤシ」なるスペインバルに流れた。
ここではスペイン産チーズをつまみながら
リオハの赤ワインを3本ほど飲み切る。
ほんとにみんな飽きずによく飲むぜ。
酔い覚ましにホテルまでぶらぶら歩き、
シャワーを浴びてベッドにもぐり込んだのは
午前3時を回っていたろう。

翌朝は石原舞子を楽屋に訪ねて激励のあと、
車に分乗して「キッチン千代田」へ一目散。
名古屋では名の知られた洋食屋は
日曜日ということもあり家族連れで賑わっている。
案内された2階の個室はなかなか居心地がいい。
朝食に手をつけなかった腹ペコ組もいるので
1皿ずつながら多種多彩に注文する。

5人で分け合ったのは
海老クリームコロッケ・ロースカツ・ハンバーグ・
牛肉弁当・ハヤシライス・オムライス・季節のサラダ。
それに数皿のライスと数椀の赤だし。
印象に残ったのは牛肉100%のハンバーグと
コク味に満ちたハヤシライス。
ステーキがウリの店だけに、牛肉モノが得意のようだ。
海老がタップリ入ったクリームコロッケも上々のデキ。
お勘定は12500円ほど。
1人アタマ2500円ということになる。
ビールも飲んだし、いろいろ頼んだわりには安かった。

食後は車で1メーターの距離にある大須観音へ。
タクシーの運転手さんによれば、
この界隈はちょうど東京の浅草みたいな土地柄らしい。
仲見世を思わせる仁王門通と万松寺通を一しきり流して
名古屋駅に向かい、新幹線に乗り込んだ。

          =おわり=

 
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2007年2月1日(木)

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