「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第162回
ラーメン対決 行列店 VS 閑古鳥店 (その1)

暖かな土曜日の朝、
目覚めたときの計画はそうではなかった。
最初の予定はラーメンではなく、
神保町は専大通りの交差点そばの地下、
「キッチンハヤシ」のハズだった。

11時25分にその洋食店に到達し、
開店間近の店先で、メニューボードを眺めつつ、
「キッチンハヤシ」ならば、ハヤシライスにしようか、
いや、ちょいと待て、カキフライで攻めてみようか、
思いめぐらすうちに、いきなりムッときた。
別に機嫌を損ねてムカツいたわけではない。
何のこたぁない、原因は単に前夜の飲み過ぎだ。
前の晩は馬道の「鮨よしだ」から
観音裏に流れ、スナック「N」でかなり飲んだ。

なんだかシツコいものを食べる気が失せ、
と言うより、体が受け付けないような気がして
かけそばかラーメンに逃げたいムード。
そこからは日本そばなら「松翁」か「九段一茶庵」。
中華そばだとラーメン店より中華料理の
「源来酒家」か「咸享酒店」あたりか。

突然、脳裏をよぎったのは
5年以上もご無沙汰している九段の「斑鳩」。
ここ数年は評判もよく、日がな長蛇の列だという。
道すがら「昭和軒」というレトロな
町場の中華屋に遭遇して心惹かれ、
後ろ髪を引かれながらも我慢の一手、
脇目もふらずに九段へ急いだ。

店先に到着して行列の長さにぶったまげた。
ザッと数えて60人は並んでいる。
あきらめと損切りの早さが身上のJ.C.オカザワ、
たちどころに方針を急転換。
九段まで来たのなら、飯田橋は目の前だ。
都内では数少ない塩ラーメンの専門店、
駅前の「高はし」へとまっしぐら。

たどり着くと、店の前には短かめの列。
今度はしっかりカウントすると、たかだか14名。
これなら可愛いもんじゃいと最後尾に回り込む。
時に11時47分。季節はずれのポカポカ陽気の下、
それでも20分ほどは待っただろうか。
途中、女子店員(店主の奥さんかも)が
注文を先取りしてくれるため、
ほどなく見覚えのある中華そばが目の前に現れた。
あとでチェックしたら、7年ぶりの再訪だった。

どんぶりには、ほぼ真ん丸に弧を描く
豚バラ肉のチャーシューが堂々と1枚。
ほかにはシナチク・焼き海苔・青ねぎ。
表面に油の層ができたスープを
一口すすって記憶の糸をたどってみる。
明らかに前回よりスープが美味しくなっている。
コシを残した細打ちちぢれ麺も舌ざわりがいい。
白胡椒を振って食べ進むうち、
やはり油のシツコさが気になってきた。
麺は食べきったが、スープはほとんど残す。

何か食べたりない。腹四分目といった感じ。
ここで思い出したのが先ほどの「昭和軒」。
お客ゼロ、オヤジが独りで新聞を広げていたあの店。
そうだ!この行列店とあの閑古鳥店を
食べ比べてみよう。思いついて元気よく立ち上がった。
            
          =つづく=

 
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2007年2月13日(火)

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