「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第163回
ラーメン対決 行列店 VS 閑古鳥店 (その2)

飯田橋駅東口の高架脇、
塩ラーメンの「高はし」のお勘定は650円。
「お待たせしてすいませんでした」
女店員の一言が気持ちを和ませてくれる。

神保町方面に取って返した。
途中、再び「斑鳩」の前を通過すると、
相変わらず50人以上の行列だ。
どれほど待ったら、ラーメンにありつけるのだろう。

11時半には閑古鳥の鳴いていた「昭和軒」。
暖簾をくぐると、客はカウンターに1人きり。
さっそくラーメンを注文する。
店内は雑然としているが、居心地は悪くない。
映画「男はつらいよ 奮闘篇」で
寅さんがヒロインの榊原るみと出会った
沼津のラーメン屋にちょいとばかり似た雰囲気。
ラーメン屋のオヤジに扮した先代の
柳家小さんのトボケた味が忘れられない。

先客が頼んだカツ丼よりも
先に出てきたラーメンの具は
もも肉チャーシュー・シナチク・焼き海苔・
ほうれん草・半割りゆで玉子。
醤油の色濃く出たスープは化調をあまり感じさせず、
中太・ややちぢれ・薄黄色・多加水系の麺も
そこそこのコシがあって、いわゆる典型的な中華そば。
東京ラーメンと言ってもよい。
卓上の黒胡椒を一振りしたものの、
こういうラーメンには白胡椒だと思うけど。

麺を完食、スープも半分ほど飲んで、
腹八分目を通り越し、もはや腹一杯。
チラリと隣客がかっ込むカツ丼を見やると
それがけっこう美味しそう。
緑のタータンチェックのシャツに
白く短いコック帽のオヤジさんは七十近いか、
どことなく俳優の米倉斉加年を思わせる。
そう言えば彼もまた、寅さん映画の常連だった。
「ご馳走様、お勘定を!」
「ハイ、500円の頂戴で!」
たった一言の受け応えに得も言われぬ味がある。

せっかく食べ比べたのだから、採点してみたい。
味は10点、ほかは5点で、計25点満点。
総合評価は以下の通り。

 
雰囲気
接客
CP
高はし
15
昭和軒
14

結果はかろうじて行列のできる店が
閑古鳥の鳴く店を制した。1点差のまさに僅差。
こうしてみると、場合によっては有名店も
無名店もそれほどの違いが表れない。

ともに油っ気はあっても
「二郎」や「弁慶」のような
ギトギト&コテコテとは一線を画するタイプ。
「高はし」の白胡椒に対して「昭和軒」は黒胡椒。
ここらあたりが白黒を決する
運命の分かれ道だったかな。

 
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2007年2月14日(水)

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