「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第168回
本郷菊坂「キッチンまつば」

とある日曜日。
池袋で厄介な仕事を片付けたあと、
地下鉄丸の内線で茗荷谷へ。
向かったのは湯立坂下のロシア料理店「ソーニャ」。
予約もせずに18時過ぎに訪れると
その夜は予約でいっぱいだという。
ありゃりゃ、やっちまったよ。
日曜の夜ならガラガラだろうと
勝手に早とちりした自分が甘かった。

仕方がないから播磨坂を上って
スペイン料理の「ラ・カンパーナ」へ。
ところがここも予約で満席。
一体どうなってるんだ、この界隈は!
思いもよらず、ディナー難民になり果てた。

ええい、ままよ!
春日通りを後楽園方面に歩き出す。
ほどなく見つけたフランス料理の「エマーブル」。
なんと今度はご丁寧に貸切りときたもんだ。
そのまま下った富坂あたりはめっきり寂しく、
店らしい店などありゃしない。

とうとう春日まで来てしまい、
こうなったら本郷菊坂の
「キッチンまつば」に的を絞る。
酒を飲む客の少ないこの洋食店なら
満席ということはまずなかろう。
案の定、たどりついたら、客は2人だけ。
それにしても文京区の
小石川から本郷にかけては坂が多い。
道すがら、湯立坂・播磨坂・富坂・菊坂と
上り下りを繰り返してきたわけだ。

体が冷えてるわりには冷たいビールがほしい。
生ビールはキリン一番搾り。
瓶や缶入りの一番搾りは苦手なのに
生だとまったく気にならず、美味しく飲めてしまう。

オムレツ・ハンバーグ・海老フライなど
定番の並ぶメニューの裏面に
つまみ類が記載されている。
食の太い相棒のおかげで
いろいろ頼めるのがありがたい。
串カツ・鳥唐揚げ・小オムレツ・しらすおろし・
白菜新香がどれもたったの300円。
そこそこのボリュームがあるのに格安だ。

麦焼酎の吉四六に切り替えて
ハンバーグとキスフライの盛合わせ。
肉汁たっぷりのハンバーグ、
コロモがサクサクのキスフライ、
相変わらずのレベルの高さに安心した。

パラパラと男性の単身客が入ってくる。
みな近隣の住人で、ハンバーグかオムレツに
揚げ物を組み合わせた定食を食べている。
日曜の夜に男独りの夕食はどこかわびしい。
チャンネルをずっとNHKに合わせていた
テレビでは大河ドラマが始まった。
静かな夜の静かな食事には
やはり静かなNHKがピッタリだ。

 
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2007年2月21日(水)

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