「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第173回
人形町で 連日の天ぷら (その2)

「天ぷら みやび」で
昼の天ぷらコースを食べた翌日。
またしても人形町へ出向く。
そして再び、天ぷら屋の敷居をまたぐのだった。
親子丼の「玉ひで」の長い行列に
あきれつつも甘酒横丁の1本筋違い、
穀物商品取引所そばの「天音」である。

「みやび」は洗練された天ぷらを揚げるが、
「天音」は一時代前の胡麻油香る天ぷらを揚げる。
店内に立ち込める匂いは下町の天ぷら屋そのもの。
浅草の「天健」や「天藤」に通ずるものがあり、
御三家の「大黒家」・「葵丸進」・「三定」とは
多少なりとも趣きを異にしている。

12時ちょい過ぎで客の入りは上々、
ほとんどのテーブルが埋まっている。
入り口近くの相席用大テーブルだけが
空いていたが、あえてカウンター席を選ぶ。
結果的にはこれが大失敗。

天麩羅御飯は(上)が2300円、(梅)は1700円。
どちらにも好きな穴子が含まれていると聞いて
迷わず(梅)を選択した。
ちなみに天丼は1000円、1350円、2000円とあり、
穴子入りは1350円と2000円。
1000円の天丼は、上司が部下におごるとき、
重宝する代物なのだそうだ。ホントかね?

なめこ汁は別売りの150円。
売り上げアップを図るための下世話な商法と思いきや、
味わってみて納得。豆腐と三つ葉もたっぷりと
これならお金を頂戴するに値する。素直に美味しかった。

目の前の揚げ手はただ1人、八面六臂の大活躍だ。
忙しい合間に、こちらの質問にも答えてくれる。
しばらくしてカウンター越しに出された
天ぷらは大き目のざるに入っている。
さすがにプラスティックではなく
竹を編んだものだったが、八百屋の店先で
茄子やきゅうりを一山に盛り付ける、あのざるのよう。

筏の海老・きす・穴子・茄子に加えた
モロッコインゲンが珍しい。
海老も小さなものが6尾連なった筏仕立て。
あとは比較的大きなかき揚げ。
中身は、もんごいか・小柱・白魚・三つ葉、
いかゲソも入っているが、
もんごではなく、やりいか系のゲソのようだ。

コロモしっかり、胡麻油キッチリの高温で
揚げられた天ぷらは、いかにも穴子向き。
案の定、穴子に一番の魅力を感じた。
こういうスタイルに小海老では少々もの足りない。
そしてこの値段なら、すぐ近所の「中山」、
あるいは前日の「みやび」のほうに割安感がある。

人形町で地下鉄の車両に乗り込んだとき、
遅ればせながら、大失敗に気付いた。
上着に胡麻油の匂いが染み付いている。
ランチタイムの忙しい時間帯に
カウンターなんぞに座ったら、これも当然の帰結。
高温の揚げ油の前に安直に座ることを
油断と言うのかどうかは知らないが、、、

 
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2007年2月28日(水)

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