「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第179回
神楽坂でホンモノの仔牛に出会った! (その1)

東京のレストランでホンモノの仔牛を
見つけることは至難の業である。
パリ・ローマ・ニューヨークあたりなら
いとも簡単、J.C.も歩けば仔牛にあたる状態だ。

東京のフレンチやイタリアンのメニューに
仔牛とあってもほとんどの場合、
ミルク以外の穀物や牧草を与えられた
若牛であることが多く、薄紅色であるべき身肉が
すでに赤く染まってしまっている。
高級レストランでさえそうなのだから
街場の洋食店は推して知るべし。
仔牛のカツレツ・仔牛のクリーム煮は
ほぼ100%ニセモノと断じてよい。

JR飯田橋駅の市ヶ谷寄り改札を出ると
目の前には外濠をせき止める牛込橋。
橋を右手に渡って神楽坂下へ進み、
坂を上り始めるとすぐ右手にあるのが
このほど菓子の製造を再開した不二家の飯田橋店だ。
ちなみにペコちゃん焼きはここでしか買えない。

そのまま坂を上り続けること数分。
ビストロ「ル・ロワズィール」がやはり右手に。
金曜の夜の遅めの夕食に予約を入れると
何とか2回転目で席を確保できた。
いまだテーブルは埋まっているが、
ほとんどがデセールに入っている。
客の8割がたは若い女性だ。
十数人をたった1人のギャルソンが受け持っている。
店先に「スタッフ急募」の貼り紙があったワケだ。

注文したドイツビールのレーベンブロイが
なかなか来ないのでイライラしてきたが、
その間、ワインリストとメニューを
つぶさにチェックして要点を携帯メールに打ち込む。
やっと到着したビールの小瓶1本を一気に飲み干した
冷えたレーベンブロイの美味いこと。
一日の疲れがこれで吹っ飛んでゆく。

ワインはコート・ド・ボーヌの
ル・クロ・ドゥ・トペ・ビゾ ’03年。
造り手はシャンタル・レスキュール。
これが6825円だから、まあまあ良心的な値付け。
マダム・レスキュールが1975年に創設したドメーヌは
ブルゴーニュの赤ワインの生産者として評価が高い。

前菜・主菜・デセールのプリフィクスが3675円。
ワンランクアップしてアミューズ・前菜・
魚料理・肉料理・デセールとなると5250円。
ここは3皿コースでじゅうぶんと踏んだ。
前菜・主菜ともに7種類ほどの料理から選ぶ。
近頃、こういうタイプの店では
前菜に魚介類が数点用意されていても
主菜のサカナはほぼ1種類のみ。
「ル・ロワズィール」もご他聞にもれず、
魚料理は目鯛のポワレだけだった。
グランメゾン以外では、原価率が高い上に
鮮度の落ちやすいシーフードを数多くストックすると
経営の大きな圧迫要因となってしまうのだ。

             =つづく=

 
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2007年3月8日(木)

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