「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第180回
神楽坂でホンモノの仔牛に出会った! (その2)

神楽坂は毘沙門天・善国寺近くの
フレンチ・ビストロ「ル・ロワズィール」。
東京のモンマルトルとも呼ばれる坂の街には
カジュアルなフランス料理店が数多い。

酒をほとんど飲まない相棒と熟慮の末、
選んだ4皿の料理はかくの如くであった。
前菜は、三陸産あわびに帆立と海胆と
ブロッコリーを合わせたサラダ。
それに乳飲み仔牛のすね肉のラヴィゴットソース。
主菜が、子鴨フィレ肉ローストのオレンジソース。
もう1皿は仔羊のナヴァラン風煮込み。

3種の魚介のサラダ仕立ては無難な1皿。
天豆を裏漉ししたソースがブロッコリーとの
仲介役を堅実にはたしているという印象。
あわび自体のサイズは小さめながら
高価な食材には違いなく、
追加料金も取らないところは評価したい。

本日一番食べたかった仔牛のすね肉。
わざわざ「乳飲み」と一筆入れてあるのだから
否が応でも期待感は高まるのだった。
運ばれた皿を伺い見ると、すね肉はほのかなピンク色。
肉の周りに透明のゼラチン質もしっかりと付いている。
うん、これは間違いなくホンモノの仔牛だ。
ヴィネガーの酸味ときざんだ野菜のシャッキリ感が
命のラヴィゴットソースとの相性も文句なし。
もともとこのソース、冷製の、殊にゼラチンを含む
肉料理にはピッタリなのだ。
ボイルして冷ました牛タンなどにも実によく合う。

以前はメニューにあったうずらが不在のため、
あまり注文することのない鴨を選んだのだが、
この子鴨のローストがすばらしいデキ。
ミッシリと凝縮された赤味肉の焼き加減よろしく、
噛みしめるたびに肉汁があふれ、滋味がいっぱい。
しかもコート・ド・ボーヌとは相思相愛、
ものの見事にシンクロナイズしてゆく。
オレンジのソースも鴨肉には昔からの定番で、
マッチしないワケがない。

仔羊もブルゴーニュの赤とは相性がいい。
もも肉を煮込んだ料理で、ナヴァラン風というのは
かぶ(ナヴェ)と一緒に煮たところから転じたようだ。
通常はほかににんじんなどの根菜が入るのだが、
煮崩れたのか、かぶもにんじんも見当たらなかった。
ただし、子鴨とまったく同じ内容ながら
ガルニテュール(付け合せ)がたっぷり。
グリーンアスパラ・ブロッコリー・カリフラワー・
インゲンと緑と白のツートンカラーが華やいでいる。

神楽坂のはずれの牛込中央通りの人気店、
「ブラッスリー・グー」と比較して割高感もないし、
料理は「ル・ロワズィール」が上とみた。
下戸の相棒はタルト・スリーズ(さくらんぼのタルト)、
デセールに興味を示さないこちらは
ウォッシュとブルーのフロマージュを少しずつ3種ほど。
このフロマージュがデセール同様、
料金に含まれているのが、またまたご立派だ。

 
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2007年3月9日(金)

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