「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第187回
ソープ嬢と 天ざるを食べる (その2)

あんな食べ方をして味が判るのかしら、、、
他人事ながら心配になるが、
テーブルにお運びのお姉さんがやってきたので
予定通りに「天ざる、お願いします」――
注文の声が聞こえたのか
その瞬間にくだんのソープ嬢がオモテを上げて
こちらをチラリと見たものだから、
視線がまともにぶつかった。
思わず目をそらしたものの、
ふいをつかれて一拍遅れてしまったよ、やれやれ。

日経新聞の朝刊の「私の履歴書」に
目を通しながら、天ざるの到着を待つ。
余談だが、この「私の履歴書」がなかなかの曲者。
大なり小なり書き手の自慢話になるかと思えば、
ヒドいのになると、過去のしがらみの総決算。
おのれの大失態を自己弁護して正当化したり、
欠席裁判さながらに時のライバルを糾弾したり、
とかくこういうのは大企業のトップに多い。
男というものは自分の文章にまで
肩書きを付けたくなるものらしい。
さもしいね。
さもしいのがトップ張ってたら社員はたまらんね。

そこへいくと現在執筆中の
宮城まり子さんはとてもいいですなぁ。
素直で、開けっぴろげで、天真爛漫で、、、
子どもの頃、彼女の歌う「ガード下の靴みがき」を
ラジオやテレビで聞いたことがあるが、
歌の持つ暗さや悲しみが子ども心にもイヤだった。
でもあの曲が貧しさに打ちひしがれた
多くの日本人を慰め、勇気づけたことはよく判る。

吉行淳之介との関係は広く世に知られるところだが、
こう明け透けに筆を運ばれてしまうと、
読む側が呆気にとられてしまい、逆に淫靡な匂いが
まったくなくなるのも人徳というべきか。
さぞや吉行、草葉の陰で苦笑しているに違いない。

天ざるが来た。別に取り立てていいデキでもない。
やはり「梅月」では天ざるより天ぷらそばだろう。
お嬢が天ざるを食べ終えた。
くわえタバコで支払いを済ませ、
腹ごしらえも万全に、ご出勤に及んでいった。

店内に独り残り、壁に貼られた品書きを
ぼんやり眺めていて、この日も開花丼に目が留まる。
どうもこの3文字が毎度気になっていけない。
文明開化をその由来として、開化丼と名付けられた
いわゆる牛丼の玉子とじ版だが、ここでは開花丼。
なぜに吉原の「梅月」では、開花丼の字を当てるのか?
それはですね、土地柄、この場所では
たくさんの美しい花が、夜開くのですよ。
これが化けて開いたんでは
あまりにも塩梅がよろしくないんですわ。

開花と言えば、ふと思い出した。
気象庁がデータ・ミスを理由に
桜の開花予想を大幅に修正したのに
誰も文句を言わないけれど、
これってけっこう重大なミステイクなんじゃないかな。
明日21日に仲間と花見を決め込んじまったんだが、
一体どうしてくれんのサ、気象庁さんよ!

 
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2007年3月20日(火)

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