「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第189回
生にんにくの誘惑 (その2)

そばを1枚、サッとたぐるつもりが
生ビールを頼み、初がつおを注文し、
オマケに生のにんにくスライスまで
所望することになろうとは!

かつおには断然にんにく。
生にんにくの誘惑は実に断ちがたいものがある。
さすがに日本酒はあきらめたが、
気に入らないはずのエビスの生をお替わりした。
18時近くになって店内は立て込み始める。

ほどなく運ばれた初がつおの土佐造り。
一面に玉ねぎのスライスが敷かれて
きざみねぎと貝割れ大根がまかれ、
紅葉おろしとにんにくが添えられている。
ひたひたのポン酢はかなり甘め、
もうちょいと辛口のほうがありがたい。
それを補うが如くに紅葉おろしの唐辛子は相当に辛い。
これは反対に辛すぎた。

暖冬の影響からか、今年は初がつおの入荷が
例年に比べてずいぶんと早まった気がする。
浅草の「鮨よしだ」では2月の初旬のお目見えだった。
もともとかつおは秋の太った戻りがつおより
春先のスマートな上りがつおのほうがずっと好き。
例えれば、まぐろの赤身のほうが
中とろ・大とろよりも好みに合うのとほぼ同じ。

全体の味付けはイマイチながら
かつおそのものは楽しめた。
10枚ほどの薄いにんにくスライスは
さすがに4〜5枚使って、あとは控えておいた。
できることなら、講習会をうっちゃって
このままここに腰を落ち着け、
ゆっくり酒を飲みたいところながら、
こちらの誘惑のほうはスッパリと断ち切る。

そろそろそばだ。
結局、せいろと粗挽きの両方を
食べたくなって二色もりを。
細打ちのせいろは噛みしめ感とモチモチ感が
同居する手打ちパスタのような歯ざわり。
一方の粗挽きはせいろと太さ同じにして
噛み応えも似ているものの、
かなり弾力感に富んでいる。
甘皮の星がそば全体に散っていて色も濃い。

つゆは甘みを徹底的に排し、恬然としているが、
少々庶民性に欠けるきらいがある。
薬味のねぎは丁寧にきざまれ、冷水にさらされている。
残念だったのはわさび。
せっかく本わさびを使っているのに
粗悪品のせいか、おろし置きをするためか
辛味がすでにすっ飛んでしまい、なおかつ水っぽい。
これは今一歩の配慮を促したい。

トータルでは悪い印象のまったくない
「大川や」をあとにして、麹町の講習会へ。
その夜はそれからが大変だった。
居眠りしながらでも話しを聴いていればよいものと
軽い気持ちで出かけてきたが、とんでもない読み違い。
わりと狭い部屋に押し込まれての討論会と相成って
黙っているわけにもいかず、意見を述べることたびたび。
あれじゃぁ、メンバーは間違いなく
にんにく臭に気づいただろうなぁ。
思い出すたび、赤面してしまう純情なJ.C.なのであった。

 
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2007年3月22日(木)

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