「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第193回
冷めた「忠臣蔵」のあとの平壌冷麺 (その1)

明治座3・4月公演の「忠臣蔵」は
昔の東映や大映の映画ほどではないにせよ、
豪華絢爛たるオールスターキャスト。
明治座の復興に尽力した三田政吉氏の
追善公演と銘打っているから、さもありなん。

今回は清水一学役で熱演している
わが高校の後輩・松村雄基の応援。
そして藤田まこと扮する仕立て屋ひょう六の
女房・お嶋を演ずる波乃久里子の応援も。

自分のコラムで後輩の話題ばかりを
取り上げるのもなぁ、と思っていた矢先に
長野市にお住まいのJUNJUNさんなる
読者の方から下記のようなお便りをいただいた。

J.C.オカザワさんのサイトは
雄基さん大好き仲間さんが探して教えて下さいました。
Homeを見たら長野市生まれとの事。
思わずメールしてしまいました。
雄基さんネタを探している私達には、
とっても素敵なサイトをみ〜つけた!という気持ちでした。
直接お話をする機会が無い私達にとって、あなたは救世主!です。
これからも雄基さんを美味しいツアーにどんどん誘って、
エピソードをUPして下さいね(^-^) よろしくです(ペコリ)

これには背中を押されましたね。
何やら雄基ネタを掲載する大義名分ができ、
ホッとしているわけです。
JUNJUNさん、ありがとうございました。

さて芝居。一幕の清水一学は少々硬さが残っていた。
殊に吉良上野介(林与一)や綾の方(淡島千景)など、
目上の人々と接するときにその印象が強く、
俳優・松村雄基の折り目正しい律儀な性格が
そのまま出てしまっている。
一学が思いを寄せる女剣士・三輪(野村真美)と
絡む場面は本来の自然な立ち居振る舞いに戻り、
二・三幕と進むごとに調子も上がってきた。
三幕の吉良亭討ち入りのシーンでは
西郷輝彦の堀部安兵衛との殺陣も無難にこなす。
それはそうと、このときの堀部安兵衛は
抜き払った一刀を天にかざして大見栄を切るのだが、
あれじゃまるで「名月赤木山」の国定忠治だ。

藤田まこと・波乃久里子の仕立て屋夫婦は
さすがと言えばさすが、文句のつけようもなく、
名演は一日にしてならずの感を強くする。
松平健の内蔵助、三田佳子のおりく、
主役を張るこちらの夫婦はあまりにも様式的。
むしろ前原伊助とその妹を演じた
松山政路と音無美紀子が揃って好演。
一皮むけた松山のシブさに
実際は若くはない音無の若々しさが重なった。
あえて断ずれば、泣けるシーンはここだけか。

堀部弥兵衛の遠藤太津朗が懐かしい。
世間一般にはTVの時代劇「銭形平次」で
大川橋蔵演ずる平次と張り合う目明し、
三ノ輪の万七で知られる名脇役ながら
鶴田浩二や高倉健主演の仁侠映画における
存在感がなんと言っても忘れがたい。

ただ、全体を通して心に響くものが
ほとんどない芝居だったことは否めない。
観客はやや欲求不満、気持ちは冷めてゆくばかりだ。

        =つづく=

 
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2007年3月28日(水)

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