「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第197回
得意な手料理のご紹介 (その1)

様々な人たちから訊かれる質問で一番多いのは
「自分でお料理はなさるのですか?」―というヤツ。
訊いてみたいその気持ち、判らぬではない。
ごく自然な問いかけなのだろうが、
それを額面通りに素直に受け止めることが
できなくなってしまっている。
日陰育ちのひねくれ者とまで
斜には構えぬものの、ちょいとばかり
修羅場をくぐりすぎたのかもしれませんな。

「料理はなさるのですか?」―この言葉の陰には
「普段いろんな店のいろんな料理に
言いたい放題だけど、いったい自分で
どの程度の料理が作れるのサ!」―
このトゲが隠れているんですよね。
優しい言葉にゃ毒がある。
あながちヒガミ根性ばかりとは
言えないものがあるんです。

「最近はほとんどしませんね。ごくごくたまに」―
こうお答えして、お茶を濁しているのが現状。
それでもこう見えて、いざ包丁を握るとなると
けっこうな凝り性、手抜きすることをよしとはしない。
とにかく食材の仕入れからして、
料理自体と変わらぬくらいに気を配る。
もっとも食材の買い出しほど楽しいことはない。
築地の魚河岸や大手百貨店の食料品売り場など
半日いても飽きないくらいだから、もはやビョーキだ。
衣類などの買い物は嫌いだが、
買出しは大好きというワケ。

ハナシの行きがかり上、せっかくだから
自慢というほどではなくとも
得意な手料理をいくつか紹介してみたい。
文字通りの手前味噌、しばしご容赦あられたし。

まずは、料理と呼べるほどのものではないが、
春から夏への冷奴と、秋から冬への温奴。
ともに木綿豆腐を使う。
子どものころは豆腐なんぞ見向きもしなかった。
たまに口にしたとしても絹ごしばかり。
それが四十代に差し掛かり、豆腐が好きになる。
豆腐の美味さに目覚めたといってもいい。
しかも木綿豆腐に魅力を感じるようになった。

冷奴は豆腐半丁の上に、細かく刻んだ白ねぎと
ごく細く切った大葉をたっぷり乗せて
そのまた上から生姜をすりおろし、
あとは生醤油を垂らすだけ。
たまに目先を変えて、みょうがを刻んでみたり、
すだちやかぼすを搾ってみたりもする。

温奴は同じく豆腐半丁の上に
やはり刻んだ白ねぎを冷奴のときよりやや多め。
そしてこれまたたっぷりの削り節、
あるいは花がつおを一緒に盛り、
上から生醤油を振り掛け、電子レンジに1分半ほど。
面倒でなければ、あらかじめ豆腐だけを
レンジで1分間温め、余分な水分を捨て去ったあと
薬味と合わせて、仕上げに30秒というのが望ましい。
ときには温奴にもアレンジを施し、
削り節の代わりに大根おろし、
生醤油の代わりにポン酢で楽しむこともある。
これには柚子皮を1〜2片添えれば言うことなし。

           =つづく=

 
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2007年4月3日(火)

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