「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第199回
得意な手料理のご紹介 (その3)

豆腐系が続いたので今日は洋モノ。
今は昔、ロンドンで貧乏学生生活を送っていた頃、
盛んに自分で作って食べたのがパスタとステーキ。
パスタはともかく、ステーキは豪勢じゃないかと
思われるかもしれないが、
アルゼンチンから輸入される牛肉は極めて廉価、
英国産のいわゆるホーム・プロデュースと
銘打たれたものには手も足も出なかった。

当時作ったパスタはほとんどがスパゲッティ。
それもボロネーゼと呼ばれるミートソースに
ケチャップの代わりにトマトペーストを使って
ガーリックを効かせた甘くないナポリタン。
なんのこたぁない、子どもの頃から
日本で馴れ親しんでいた味のアレンジだ。

今日紹介する2皿のパスタ料理は
造り手の成長とともに、かなり洗練されている。
1皿目は冷たい生たらこのフェデリーニ。
このパスタは細めのスパゲッティ、
いわゆるスパゲッティーニとほぼ同じもの。
冷たく冷やすので、太めのものだと食感が悪い。
かと言って、最細のカッペリーニまで細めてはいけない。

作り方はいたって簡単。
ほぐした生たらこに白ワインを振りかけ、
レモン汁を少々加えて、ペースト状にしておく。
このときに残るたらこの皮は見栄えが悪くとも
クチュクチュした歯ざわりが
絶妙のアクセントになるので捨ててはいけない。
茹で上がったフェデリーニを氷水で締め、
水切りをしたら、ヴァージン・オリーヴオイルを
小匙1杯程度からめ、先ほどのペーストと和える。
仕上げに千切りのバジルを散らして出来上がり。
この料理も応用が利く料理で
和風にしたいときには、白ワイン→日本酒、
レモン→すだち、バジル→大葉、
このように選手を交代させればバッチリ。

2皿目はポルチーニのクリームソースのタリアテッレ。
生ではない乾燥ポルチーニを適量、少なめの水に戻す。
タリアテッレを茹で始めたら
フライパンにオリーヴオイルを熱し、
薄切りの玉ねぎを軽く炒める。
水気を搾ってザッと包丁を入れたポルチーニを加え、
さらに軽く炒め、生クリームと戻し水を注ぎ、
顆粒でも固形でもスープブイヨンと
塩・胡椒で薄めに味付けをする。
茹で上がったタリアテッレを湯切りしたら
フライパンに投入し、ソースとからめて皿に盛り、
パセリのみじん切りを散らして出来上がり。

このソースにはタリアテッレの代わりに
スパゲッティ・リングイネ・フェットチーネなど、
ほかのロングパスタを合わせてももちろん美味しい。
ペンネやリガトーニのショートパスタもイケる。
南瓜やじゃが芋のニョッキとも相性がよく、
特に栗を使ったニョッキなら
北イタリアはピエモンテの実りの秋が
食卓の上を彩ることだろう。

        =つづく=

 
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2007年4月5日(木)

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