「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第200回
得意な手料理のご紹介 (その4)

いい加減に下手な手料理はやめてくれ!
じゅうじゅう判っておりますが、これが最後。
もう1日だけ辛抱してください。

今日はやはり若い頃によく焼いたステーキ。
昨日記したようにロンドンでの貧乏学生時代は
アルゼンチン産ビーフのもも肉が主体。
アルバイトの給料が入るとランプや
サーロインに昇格することはあっても
フィレ(テンダーロイン)ということはまずなかった。

帰国して社会人になってからはスーパーマーケットや
精肉店で買い求めた名も知れぬ国産牛のフィレ専門。
初めての海外赴任地となったシンガポールでは
オージーかニュージーのやはりフィレ。
サーロインは途中でもたれるので
もっぱらフィレステーキばかりを食べ続けた。

10年間住んだニューヨークでは
牛肉は仔牛肉に完全に駆逐されてしまい、
滅多に食卓に上ることがなくなった。
仔牛のTボーンに塩と黒胡椒を振り、
ローズマリー&ガーリック風味で
焼き上げて、何度味わったことだろう。
これに北イタリアはピエモンテ産の赤、
バルバレスコを合わせるのだが、
この頃が、わが人生において最良の食生活を
送っていた時期であることは疑いの余地がない。

東京に舞い戻り、仔牛との決別を余儀なくされ、
たまさか自分で焼くステーキは再び和牛のフィレとなる。
松坂・近江・前沢などの銘柄牛は
フィレ肉でさえも、脂が乗りすぎていていけない。
和牛でなければならないが、無名の牛がよろしい。

さてJ.C.流のフィレステーキ。
名もない和牛のフィレ肉を1人150g見当で用意。
ガルニテュールは、にんじんのグラッセと
いんげんか絹さやのバターソテーだが、
くれぐれも野菜たちは肉を焼く前に
仕上げておかなければならない。
まぁ、これは常識ですな。

ほかに用意するのは、にんにくのスライス、
バター1かけ、ブランデー少々だ。
フィレ肉に塩をして10分後、
染み出た水分をきれいに拭き取っておく。
厚めのフライパンにコーンやグレープシードなど
くせのないオイルを熱し、中火でにんにくを炒め、
焦げる前に取り出しておく。

強火に変えて、熱くなったフライパンに
黒胡椒を振ったフィレ肉を投入する。
厚さにもよるが、焦げ目が付いたら裏返し、
中火に戻してフタをする。
そのまま2分ほど置くのだが、
このあたりはもうカンに頼るしかない。
肉の上にバターを1かけ乗せ、またフタをして15秒。
仕上げはフライパンににんにくを戻し、
ブランデーでフランベして出来上がり。

卓上でもう1度黒胡椒を挽き、
イングリッシュマスタードを添えたらば、
ナイフ&フォークで1切れずつ切って口に運ぶ。
お好みで生醤油を垂らしてもよいし、
ウスターやとんかつソースを使う人を止めもしない。
もちろんそのままでも美味しいですよ。

 
←前回記事へ

2007年4月6日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ