「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第203回
桜吹雪の播磨坂 (その3)

北イタリアで修業したシェフの手による
「タンタ ローバ」の料理の締めくくりは
小海老と生ポルチーニの自家製タリオリーニ。
この生パスタはその名の響き通りに
たおやかな食感が魅力だ。舌ざわりが実に快適。
乾燥ポルチーニはもっとコクのあるソース向きだが、
生ならオイル系にマッチして、海老との相性もいい。
ワイン2本込みで、支払いは1人9000円ほど。

その翌日は播磨坂の桜並木の反対側にある
スペイン料理の「ラ・カンパーナ」に赴いた。
連夜に渡り、夜桜を楽しみながらのディナーとなった。
花びらはかなり散ったものの、葉桜になるでもなく、
まだまだ見ごろが続いていて気分爽快だ。
この夜はお世話になった方をお礼にご招待。

前夜、スプマンテを無視したように
今宵もカヴァには脇目もふらず、
24時間前と同様に、スーパードライの生をプハーッ!
赤ワインはラモン・ビルバオのグラン・レゼルバ’95年。
これが9000円。ネットでは4200円だから約2倍。
スッキリなめらかに枯れていてくれて
価格に見合った満足感は残った。

食事は軽くつまめるものでスタートした。
最初はタパス6種類の盛合わせ。
穴子マリネのフライ・かきのガリシア風・
イベリコ豚のサラミなどが
パレットの絵の具のように並べられている。
どれも今一歩で、殊に穴子の鮮度が気になった。

ほかにも単品でボケロネス(ひしこいわし酢漬け)、
たこのガリシア風、小やりいかの墨煮など
魚介類を中心に試してみたところ、やはりイケナい。
ボケロネスには珍しくも
刻んだ生にんにくを散らしてきたが、
そうでもしないと生臭くて食べられない。

ことここに到り、この界隈に詳しい読者のkkさんの
指摘するところがじゅうぶんに飲み込めた。
播磨坂では「タンタ ローバ」が一番人気。
「ラ・カンパーナ」は今一歩ながら
最近は少しずつ上昇傾向にあるとのこと。
魚介料理に関して言えば、上昇するには道のりが
かなり険しいものになりそうだ。
シェフは1度、和食の修業をしてみたらどうだろう。

注文はもう1つ。
スペイン料理の定番中の定番に
ガンバス・アル・アヒーヨという料理がある。
小海老のガーリックオイル煮なのだが、
四半世紀以上も前にアンダルシアは
セビリヤのバルで夜更けに食べて以来、
ずっと好物でメニューに見掛けると
必ず注文する個人的な思い入れの強い料理なのだ。

地中海で獲れる小海老でももちろん美味しく、
日本近海の芝海老なんぞを使ったら
とんでもない逸品に仕上がるだろう。
それを何とこの店は甘海老で作ってきた。
無知と言おうか、無謀と言おうか、
料理人が食材の特質をまったく理解していない。
海老なら何でもいいってモンじゃありやせんぜ。
甘海老は刺身のほかにはほとんど
食べようがないでしょが!ったく!

 
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2007年4月11日(水)

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