「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第204回
読者オススメの店 (その1)

読者の中にI原さんなる弁護士さんがおられる。
上野黒門町生まれの生粋の江戸っ子。
寅さん風に言えば
「生まれも育ちも上野黒門町です」―となり、
健さんならば
「ノガミ生まれの上野の育ち」―ということになる。

このI原さんから御徒町・末広町界隈で
行きつけの推奨店をご紹介いただいた。
雲南料理の「過橋米線」、イタリアンの「ラ・サエッタ」、
四川料理の「彩芳」の3軒である。

今日から3軒の訪問記を綴ってゆくつもりだが
その前に1つお知らせ。
晶文社から出ているJ.C.オカザワの食べるシリーズの
新作の骨格がほぼ固まった。
丸ビルに始まり、浅草・銀座・下町と書き継いできて
今回はおそらく、今までで最大のエリアに
挑戦することになると思われる。
カバーする地区をザッと紹介すると

千代田区―神田と名の付く全てのエリア・九段・飯田橋・
     一ツ橋2丁目
台東区――上野と名の付く全てのエリア・秋葉原・下谷・
     根岸・池之端・谷中
文京区――湯島・本郷・根津・千駄木・春日・小石川・
     白山・本駒込1&3丁目
新宿区――矢来町・細工町・納戸町などの小さな町々・
     神楽坂
荒川区――西日暮里3&4丁目

題して「J.C.オカザワの 古き良き東京を食べる・
    古き良き東京の名店二百選」

地区内にはおびただしい数の店がひしめいていて
すでに千軒以上はクリアしたものの
まだ行かねばならぬ店が70軒ほど残っている。
これから追い込みをかけても2ヶ月はかかるだろう。
原稿を起こすことよりも、店々を食べつくすほうが大変。
ともあれこのたびI原さんに紹介いただいた3店は
全てこの範囲に収まっていて
まさに「渡りに舟」ではあったわけだ。

1軒目は末広町に近い妻恋坂の交差点そばの
雲南料理専門店「過橋米線」。
雲南料理というのは聞きなれないが、
「過橋米線」なる店名はもっと聞きなれない。
これは熱々の汁米粉のこと。
もっとも米粉はヌードル状なのだから
米線のほうがずっと名は体を表していることになる。

NHKの教育テレビで見たのかどうか
記憶は定かではないが、名前の由来は
昔むかしの中国のお話。
科挙の試験に臨んで池の中に浮かぶ小島の
東屋にこもり、独り猛勉強する夫のために
妻が作った夜食がこの過橋米線。

受験生のために母親が作る即席ラーメンと
一味も二味も違っているのは注がれる愛情の深さ。
過橋、すなわち橋を渡ってゆくので
妻は麺が冷めないように土鍋を使い、
また麺がノビないようにスープと麺を
別盛りにして運んだという。
珍妙な名前は愛情物語から生まれたのだ。

         =つづく=

 
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2007年4月12日(木)

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