「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第206回
読者オススメの店 (その3)

小体な店なのに禁煙席と喫煙席が
きちんと分かれた理想的な造りの「ラ・サエッタ」。
パルマ産のプロシュートのあとは
アンティパストが2皿。
ピンク・グレープフルーツを添えた
ほうぼうのカルパッチョと
活縞海老とずわい蟹とアヴォカドのサラダ仕立て。

カチュッコ(イタリア版ブイヤベース)には
格好のサカナ・ほうぼうを生で食べさせるのは
鮮度に自身があるからだろう。
日本海に揚がった縞海老は活けで仕入れていた。
こんなところからシェフの
シーフードに対する思い入れの深さが判る。
鮨屋は別格として、和食店でさえなおざりな
お造りが目立つ今日この頃、この姿勢は評価できる。

前菜の2皿を魚介系で統一したので
主菜の2皿は肉料理で統一した。
これは赤ワインのためでもある。
仔羊緑のローストはネーミングが泥臭くとも
肉質がジューシーにして、殊に赤身の部分が美味。
「緑」というのは身肉に香草をまとっているからだが、
「仔羊のロースト・香草風味」あるいは
「ハーブをまとった仔羊のロースト」のほうが
料理名としてはずっと洗練されている。

もう1皿は宮城産牛ランプ肉のタリアータ。
ランプといえどもかなりの脂のノリ。
好みとしては宮城のもうちょっと北、
岩手の短角牛のほうが霜降りに
頼らない牛肉本来の滋味にあふれて好きだ。
おまけに少々火の通しすぎの感否めず、
バルベーラ・ダスティとの相性の上からも
仔羊のほうが、より楽しめた。
むしろ付合せの野菜のグリルがよかった。

例によってプリモ・ピアットであるはずの
パスタを最後にいただく。
魚介類のフェデリーニには春らしい食材がいっぱい。
今が旬の富山湾産ほたるいかに加え、
あさり・帆立・菜の花・トマトが皿を彩る。
自家製手打ちのフェデリーニは本来、
細打ちスパゲッティなのだが、
この店のはタリオリーニのようなしなやかさ。
ドルチェはパスしての会計は2人で2万円也。

3軒目はこれまた見つけにくい「四川史菜 彩芳」。
中央通り・蔵前橋通り・JR山手線にコの字形に
囲まれた地点にあると言えば、判りやすいだろうか。
この店はI原さんに紹介される前から
その存在を認識していた。

かれこれ数年前の散歩のおり、店の前を通りかかり、
店先のメニューボードに目が留まった。
ランチタイムは料理が3種類のみ。
客は好みでそのうちの2種類を選べるシステム。
狭い店ゆえ、昼時の混雑をいかにして
淀みなく乗り切るかを考え抜いた名案といえる。
客側も2皿の主菜を楽しめるのだから
まさに一石二鳥のグッドアイデアだ。

          =つづく=

 
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2007年4月16日(月)

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