「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第207回
読者オススメの店 (その4)

3つの異なる料理から2皿選ぶスタイル。
表通りから隠れた「四川史菜 彩芳」に
たまたま遭遇した日の献立は
記憶が確かならば、麻婆豆腐に炒めものが2皿。
直感的にいい店を発見したものだと思った。
でもそれから何年もの間、この四川料理店は
忘却の彼方に追いやられていたのだった。
それを今回、I原さんが思い出させてくれたわけだ。

柳橋からてくてく歩いておよそ20分。
到着したのは正午ちょっと前。
ガラス越しに中をのぞいて空席を確認し、
店先の品書きに目を通したのだが、
そうオチオチもしていられない。
傍らをグループ客なんぞにすり抜けられたら
ハイ、それまでよ!
(ここで日本一の無責任男のご冥福をお祈りする)

メニューボードには
(1)―麻婆豆腐 (2)―豚肉とせりの炒め 
(3)―春雨と挽肉の煮込み
とあって、どうやら(1)の麻婆豆腐は
毎日必ず顔を出す常備菜のようだ。
(1)と(2)に決めて入店すると店内は鰻の寝床風。
補助椅子を含めても13人で満席となる。

中華鍋を振る店主は陳建民の弟子とのことだから
おそらく「四川飯店」の出身だろう。
あとは厨房内で料理の盛り付けを担当する年配の女性、
サービス担当のやや若めの女性、計3人の切り盛り。
800円のランチには2皿の主菜のほかに
塩抜きして細切りにしたザーサイの炒めと
包米湯(コーンスープ)とごはん。
手を掛けたザーサイで判るように
キメ細やかなシゴトがなされている。
スープは火傷しそうなくらいに熱いもの。
やや柔らかいごはんが難と言えば難。

麻婆豆腐は拍子抜けするほどの穏やかな仕上がり。
本来はこうあるべき料理なのに
昨今の異常なまでの麻辣ブームのおかげで
花椒・辣油・豆板醤の乱用が巷にあふれ返り、
いつの間にか原点を忘れてしまっていたのだなぁと
あらためて実感する始末だ。

麻婆豆腐よりよかったのが
豚肉細切りと芹と竹の子の炒めもの。
中華料理の炒めものに使われる緑黄野菜は
青梗菜・ニラ・にんにくの茎あたりが定番なのだが、
芹には意表を突かれた。しかもこれがとてもいいデキ。
おひたしや鍋物ばかりが芹の生きる道ではなかった。
この新発見はひょっとして大発見かもしれない。

近隣のOLやサラリーマン相手の店につき、
土日祝が休みだから、遠方からのランチ利用は難しい。
それでもなんとか機会を作って訪れる価値はある。
期待を裏切ることはまずないだろう。
ただし、激辛の濃厚コッテリ味を求める向きは
近づかないほうが賢明だ。

御徒町・末広町界隈の佳店を3軒も教えてくださった
I原さんご夫妻にあらためて感謝いたします。

 
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2007年4月17日(火)

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