「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第213回
フェラガモが営むリストランテ (その2)

アンティに続いて、通常は一番最後に回している
プリモ・ピアット(パスタ&リゾット)を
順番通りの正統派でいただいた。
まずは、たらば蟹とグリーンアスパラのリングイネ。
これもまたアンティのように上品すぎてしまって
味は悪くないのだがインパクトが弱く、
イタリア料理を食べている気がしない。
日に日に変化を遂げてゆくクッチーナ・イタリアーナの
1つの方向性を見たような思いがした。

それに相反してガツンと来たのは
猪肉のラグーのパッパルデッレ。
言わば猪の挽肉を使用した幅広パスタの
ミートソースなのだが、
このパッパルデッレというパスタは
こういうソースにとても相性がいいのだ。
ただし、メニューにはパッパルデッレではなく
ピーチとあった。ずいぶんと趣きの違うパスタ同士、
オーダーを取るときに接客係から
何の説明もなかったのは減点対象とせざるを得ない。

もう1皿、ポルチーニのリゾットも大変よかった。
乾燥と生の2種類のポルチーニがたっぷり入って
イタリアの秋の匂いが鼻腔を刺激しまくる。
松茸や栗に代表される日本の秋とは
まったく異なる濃密な季節の香りが
目の前の皿から立ち上ってくるのだ。

さていよいよセコンド・ピアット。
いわゆるメインディッシュの登場だ。
地鶏と北あかりのローストはローズマリー風味。
イタリア料理では家禽類や仔うさぎのローストの
香り付けはまずほとんどの場合ローズマリー。
北あかりというのは数年前によく見かけるようになった
今が流行りで新種の北海道産馬鈴薯のこと。
男爵とメイクィーンのいいとこ取りみたいなポテトだ。

イベリコ豚のグリルはオススメ料理とあって
2人前注文したから、1人あたりの分け前は
ハーフポーションということになる。
このところ猫も杓子も豚肉と言うと
イベリコばかりが脚光を浴びているが、
イタリアにもチンタ・セネーゼなる美味しい豚が
いるのにどうしてスペインの豚に花を持たせるのだろう。
いずれにしろオススメというほどではなかった。

和牛ほほ肉とリブアイのタリアータも魅力に薄い。
しかもポーションが小さめで、4人で取り分けたら
ほんのちょっぴりずつ、さすがに小食のJ.C.でも
物足りなさに指でもしゃぶりたくなる。

珍しくドルチェにマチェドニア(フルーツカクテル)と
ヴァニラのジェラートをお願いし、エスプレッソで締めた。
支払いは10%サービスチャージ込みで1人1万9千円弱。
スプマンテとワインを計4本ほど空けているから
そんなに高いという印象は受けない。
少なくともフレンチの「ベージュ東京」よりは
ずっと安上がりと言ってよい。

最後にふと思い出したのだが、
確かナプキンがツルツルすべる化学繊維で
できたものだったような気がする。
即刻コットン製に取り替えてもらったけれど
あのナプキンはいただけません。
イタリア人のセンスはもっといいハズだがねぇ。

 
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2007年4月25日(水)

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