「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第221回
「中華とじ」って何なんだ!

先週金曜のコラムの続きではないのだが、
今度は上野駅前の台東区役所の帰り。
おりしも時刻は11時半過ぎ。
飲食店が昼間の営業を始める時間だ。

区役所から5分も北に歩けば
いなり寿司の名店「きつね忠信」がある。
半年ほど前に初めて食べて、その美味しさに絶句。
東京一のおいなりさんと確信している。
今日の主役は「忠信」さんではないから、
このハナシはスッと流しておくが、
そのうち詳しくご紹介する機会もあろう。

とり合えずいなり寿司をゲットしておこうと
入谷方面に歩き始めた1つ目の角、
直進しながら右手の通りを見やると
とある日本そば屋に人の出入りがずいぶん激しい。
条件反射的に角を右折してしまい、
確認すると「そば処 長寿庵」であった。

かなり年季の入った建物はざっと見たところ、
少なくとも半世紀の風雪に
耐えているものとお見受けした。
何の変哲もないごくありふれた町のそば屋さんだが、
こういう雰囲気には惹かれるものがある。
というか、J.C.の泣き所と言ったほうがより的確だ。
サンプルケースに一目くれて、品書きに目を移した。

品揃えは多彩なものの、これといった特徴は
きしめんのもりとかけがあるくらい。
ここはパスしておこうと思った瞬間、
中華そばの文字に目が留まった。
自慢じゃないが、日本そば屋の中華そばが大好きだ。
それこそ数十年も前のことながら
中板橋は弥生町の下頭橋通りにあった
「満留賀」の中華そばがその原点。
以来、そば屋の黒字で書かれた品書きに
そこのところだけ赤字の中華そばを見つけると
まず間違いなく暖簾をくぐってしまう。

「長寿庵」の中華そばは赤字では
なかったものの即座に入店。
あらためて卓上のメニューを手に取って
野菜中華なる一品にアッと声を上げそうになった。
住まいにほど近い柳橋を南に渡ったところの
「柳橋長寿庵」にも野菜中華があるのだ。
柳橋と東上野の「長寿庵」。ほかのそば屋で野菜中華に
遭遇したことはただの1度としてない。
これは単なる偶然ではなかろう。
縁戚筋か暖簾分けのどちらかに相違あるまい。

メニューには中華そば・野菜中華・中華とじと
順に並んでいる。中華とじって一体何なんだろう。
中華そばの玉子とじだということは察しがつく。
考えてみれば、ありそうでなかった一品ではないか。

はたして野菜中華の玉子とじであった。
醤油スープのタンメンの玉子とじを
想像してもらえればいい。
化調を感じさせない優しい味。
麺はゆで過ぎのきらいがあるが、
どこかほのぼのとした味わいに満ちた
日本そば屋の中華そばであった。

 
←前回記事へ

2007年5月7日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ