「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第223回
心和ませてくれたキジバトとツバメ (その2)

神田のキジバト夫婦はもう姿を消したから安心。
それから1週間ほどのちの昼下がり。
谷中の名所の1つ、夕焼けだんだんの階段に
J.C.オカザワの姿を見ることができる。
別に見たかぁない!ってか?

良い天気である。陽射しがまぶしい。
階段を降りたところの商店街が谷中銀座。
最近とみにメディアに取り上げられたおかげで
活況を呈しており、メンチカツを求める客が
肉屋の店先で行列を作ったりもして
ただでさえ狭い通りが余計に歩きにくくなった。

この日はまず、谷中銀座の「かみや」の
かき揚げうどんをやっつけてから夜みせ通りを北に抜け、
不忍通り沿いの「神名備」のラーメンも制覇するつもり。
いつものことながら、それに備えて朝食は抜いてきた。
うどんとラーメンならば何とかなるだろう。

「かみや」は何の変哲もない町のうどん屋さん。
ただ、夕暮れどきにかき揚げだけを
テイクアウトする地元の客を何度も見かけ、
ずっと気になっていた1軒なのである。
冷たいざるうどんとかき揚げという手もあったが、
ここは初心貫徹、温かいかき揚げうどんでいく。

カウンター席の隣りの先客は初老の女性。
こちらはかき揚げざるを召し上がっていた。
チラリと盗み見すると、やや太めのうどんは
光沢があるでもなく、あまり美味しそうには見えない。
それよりもかき揚げのサイズが半端ではない。
最近は居酒屋チェーンなどでも
ジャンボかき揚げが流行しているようだが、
この店のものも相当な迫力だ。

注文が入ってから店主が揚げ始めた。
その間5分ほど待ったろうか、
大きなかき揚げは真っ二つに切られて
片方は熱いつゆの張られたうどんの上に
もう片方は皿に盛られて塩が添えられてきた。
店主曰く、塩で召し上がれとのこと。

取りあえずはどんぶりを抱えてつゆを一口。
見た目は透明感のあるつゆだが、
昆布が主導権を握る関西風ではない。
かつお出汁が利いているものの
関東のそば屋のかけつゆともまったく異なる。
言わば、関東と関西の中間、名古屋のきしめんの
つゆに似ているといったところか。

かき揚げは半分とはいえ、元々のサイズがサイズ、
食べ進むうち、しつっこさがボディブローのように
ストマックにダメージを与え始める。
完食したら次のラーメンはギヴアップを余儀なくされる。
折も折、隣りのオバさまもやはり持て余したのだろう
残り半分をお土産のご申告。渡りに舟とはこのことで
間髪入れず「ボクもお願いします」―これにて一件落着。

風が吹いたら吹っ飛びそうな軽いポリ袋を片手に
夜みせ通りを突っ切ってバス通りに出たところ、
1羽のツバメが頭上を掠めて飛び去った。
この飛び方から察すると、至近距離に巣があるはずだ。
周りを見渡すと、通りの向かいの自転車店が目に留まる。
はは〜ん!目星をつけて横断歩道を渡って行った。

           =つづく=

 
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2007年5月9日(水)

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