「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第224回
心和ませてくれたキジバトとツバメ (その3)

食べ切れなかった谷中銀座の
「かみや」のかき揚げをぶら提げながら
歩いていて1羽のツバメに遭遇したのだった。
ツバメという鳥は1度営巣してしまうと
あまり遠出はしないもので
すぐ近所に巣があることが多い。

池袋と浅草を結ぶバスの走る通りを渡り、
自転車店の軒先を見上げれば、いました、いました
ペアのツバメが横並び。いまだ雛の姿は見えない。
店主の気遣いだろう、巣の両サイドに
ポリ袋の束が提げられて、これは明らかにカラス除け。

ツバメは人間に守られて、というか
人間を上手に利用して繁殖する小さな渡り鳥。
巣を作るのは常に人間が活動する周辺に限られ、
間口が広く開放された建物が絶好の巣作り場となる。
タクシーの営業所、屋内駐車場、鉄道駅の駅舎、
自転車店もまたしかりなのだ。

街にツバメを見かけると、初夏を感じるとともに
フーテンの寅さんの決まり文句を思い出す。
「夏になったら啼きながら、必ず帰ってくる
 あのツバクロさえも、何かを境にパッタリ
 姿を見せなくなることもあるんだぜ」
うう〜ん、名セリフだ。
片方のツバメと目線が合ったのを潮時に
自転車店をあとにした。

行く先は不忍通りのラーメン店「神名備」。
つい先日は神田のキジバト夫婦のおかげで
1枚のもりそばを食べ損ねてしまったが、
今回は忘れることなく、予定通りの行動だ。

到着すると店外に3名ほどの客が
のどかにも椅子に腰掛けて並んでいる。
これなら可愛いもんだわい、
心に余裕を持って座って待つと
間もなく店内に案内された。
ところが列は店の中にも延びていて
結局は15分ほど待つことに。

前回、と言っても4年以上も前のことだが、
この店の神名備ラーメン(800円)の美味しさと
その量の少なさに目を見張った記憶がある。
とにかく透き通ったスープに細打ちの玉子麺が
グッド・コンビネーションを見せていたことは確か。
ただし、この神名備ラーメンは2年ほど前に
終売となって、もはや食べることができない。

現在のメニューは醤油と塩のラーメン、
加えてそれぞれのチャーシューメン、
以上4種類のみとなっている。
あとは季節の炊き込みごはんのおにぎりとデザート。
その日は竹の子ごはんだった。
秋には松茸ごはんも登場するそうだ。

注文した塩ラーメンは「神名備」のイメージから
想像もできないほどにボリューム満点。
こんもり盛られた茹でもやしの下から
たっぷりの中太ちぢれ真っ黄色の麺が現れた。
ちょっと見、4年前の倍はあるだろう。
ことここに至って後悔することしきり。
かき揚げうどんのせいで血糖値が上がり、
脳が胃と舌に「食べるな令」を発信している。
あぁ、無情!

 
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2007年5月10日(木)

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