「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第225回
小田原・早川漁港の「魚市場食堂」 (その1)

小田原の街は伊豆や箱根に向かう途中に
何度もクルマで通過しているのだが、
腰を落ち着けたことはただの1度もなかった。
なんとなく近くて遠い存在だったわけだ。
浅草のそば屋で板わさを肴に一杯やりながら
ふとそう思うのだった。

それじゃあ、出掛けてみるベェかと
東京駅から東海道線の列車に乗り込んだ。
小田原の1つ先の早川駅に降り立ったのが午前11時。
駅から歩いて10分足らずの港に
小田原の海の台所、早川魚市場があり、
その2階では「魚市場食堂」が平日は朝の7時から
日曜・祝日も10時半から開いている。
休みは原則的に月2回ほどの水曜日。

休日のことで、港の船着場には
のんびりと釣り糸を垂れている大勢の人々。
ぼんやり眺めていると年端もいかない女の子が
かさごの稚魚らしき小魚を釣り上げた。
その子以上に欣喜雀躍したのはお母さん。
取り急ぎ愛娘と小魚の記念写真を
ツーショットで1枚パチリ。

食堂内はかなり立て込んでいても
空席が見つからないというほどでもなく
取りあえず自分の席を確保した。
そうしておいて券売機で食券を買い求める。
築地市場の食堂と違う点は扱うメニューが
魚介類一色に染め上げられていること。
もちろん納豆や味付け海苔や玉子焼き程度は
揃っているけれど、いわゆる肉モノは皆無。
かつ丼もなければ、生姜焼きもない。
そば・うどんの麺類さえも見当たらない。
これでは観光客はともかく市場で働く人たちは
飽きてしまうんじゃなかろうかと、余計な心配。

さて何にしようかな。
目についた港の朝定食(730円)と
港の昼定食(1300円)で迷いに迷った。
時計は11時半になろうとしていたが、
昼に朝定食を注文することができるし、
朝から昼定食を頼むことも可能とあった。
朝定は刺身と玉子焼き、昼定は刺身とフライ盛り合わせ。

実はこのあと街道すじにある小田原随一の
人気ラーメン店「味一」に立ち寄る腹積もり。
それなら当然、やや軽めの朝定にすべきなのだ。
でも結局は券売機に千円札を2枚投入してしまい、
右手の人差し指が押したボタンは昼定だった。

食券をキッチンカウンターのオジさんに手渡し、
引き換えにプラスチックの番号札を受け取って
その番号が呼ばれるまで自席にて待つ。
したがって店内には「○○番のお客さまぁ〜!」と
呼び続けるオジさんの声が
ひっきりなしにこだましている。
耳障りと言えば耳障りなのだが、
魚市場の食堂らしい臨場感が逆にいいのかも。
待つこと10分弱。自分の番号が呼ばれて腰を上げる。

           =つづく=

 
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2007年5月11日(金)

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