「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第230回
女性客のハツに 串打ちしちゃった焼き鳥屋 (その1)

どちらかと言うと焼き鳥店には
それほどの愛着を感じるほうではない。
行きつけの店とてないのが現状だ。
飽きっぽい性格のせいか、
最初から最後まで鳥肉を食べ続けることが
退屈になってしまうのかもしれない。
ふぐ料理屋においてもその傾向が
無きにしも非ずだから、推して知るべしだ。

それでも麻布十番の「世良田」は気に入っている。
日比谷線・六本木駅からそのまま地下で
つながっていた東日ビル内にあって、
まだまったくの無名時代に
取引先の金融マンに誘われ、初めておジャマした。
以来、ごくまれにだが、数回訪れている。

いつぞやは同じく六本木の気に入り鮨店「兼定」で
親方と談笑の際、やはり彼も焼き鳥は「世良田」と
豪語していて、大いに盛り上がったものだ。
麻布十番に移転して5年の歳月が流れたが、
相変わらず納得のゆく焼き鳥を
焼き続けてくれていることがうれしい。

焼いているときの店主は手元を見るためだけの
小ぶりな老眼鏡を付けているのだが、
客席を見るときの眼鏡越しの上目遣いが
なんともお茶目で愛嬌があり、とても可愛い。
ところがである。このお茶目がである。
普段から手際よく串をさばいているせいか
なかなかのやり手なのである。

なんでも今の女将さんは東日ビル時代に
店に通っていたお客さんだったところを
口説き落とされてしまったそうな。
焼き鳥をいただいている間に
自分自身をいただかれちゃったワケだ。

店主にしてみりゃレバーやハツに
串を打つのは朝飯前のお手のもの。
女性客の1人や2人のハツに串を打つのも
お茶の子さいさいといったところか。
とは言うものの、鶴は焼き場で、亀は接客、
なかなかのオシドリ夫婦ぶりを見せているのは
まさにご同慶の至りなりけり。

浅草のバーでたまたま会って以来、
飲み食べ友だちの契りを交わしたN戸夫妻と
某大手新聞社のM村女史の仲良し四人組で
久々に小ぢんまりとしたビルの5階に赴いた。
このビルの4階には「ヴィーノ・ヒラタ」から
独立した「ピアット・スズキ」も入居しており、
なんとなく親近感がわいている建物なのだ。

N戸夫妻にこの「世良田」を紹介したところ、
2人ともすっかりハマり込んでしまい、
それ以来、足繁く通い続けているとのこと。
今では店主も女将さんも一目置く存在、
ちょいとした顔になってしまっている。

キリン・ハートランドの生中が4つ運ばれた。
いつものように泡少なめでお願いしてある。
ほかの3人は逆に泡たっぷり。
何はともあれ、再会を祝して乾杯!

         =つづく=

 
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2007年5月18日(金)

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