「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第240回
三社祭はエンコの華 (その3)

浅草寺の真裏の広場を目指したのは
氏子各町神輿連合渡御を見物するためだ。
神輿の数も相当なものだが、人出もまたスゴい。
ほんの15分ほど目を楽しませていたら
案の定、せっかちなことにかけては
けっして人後に落ちないO会長が口を開いた。
「まっこんなもんです。
 おおよその様子は判ったね?
 それじゃ、河岸を替えようや!」
昨年とまったく同じパターンだ。
ご老体は一つの場所に長居をするのが大嫌い。
大海原のまぐろのように泳ぎ続けていないと
息が切れしてしまうらしい。

O会長の計らいで「天婦羅 柳屋」に移動する。
5656会館のすぐ裏手だから、歩いて3分ほどの距離。
界隈では名の知れた天ぷらの老舗なれど
訪れるたびにいっそうの美味しさを感じさせるのは
いまだに進化を続けている証しだろう。

昼酒と天ぷらに備えて朝食は抜いてきた。
キリンラガーで乾杯すると、
目覚めた胃の腑がさっそくアルコールを
吸収しているのがよく判る。
これをすみやかに分解するのは肝臓の役目だ。
自分の持ち物とは言え、
丈夫な胃と肝臓にあらためて感謝。

突き出しのもずく酢のあと、天ぷらが始まった。
合いの手は、白ワインのヴァン・ド・ペイドックに
麦焼酎の百薬の長。
その日のおまかせ天ぷらはかくの如くであった。

 才巻き海老3尾・きす2尾・あおりいか2片・
 若鮎3尾・穴子・山独活若芽・たらの芽
 海老かき揚げの天茶 香の物
 メロン 

ジルシは特筆の逸品。
吉野川の天然若鮎の苦み走りが何とも言えない。
口の中でハラリと崩れ溶けてゆく穴子も白眉だ。
きすと天茶もよかったが、この両者が当日の双璧。

この日はまだまだ終わらない。
近くの料理屋「三豊」の座敷に上がり込み、
祭りで店の者が出たり入ったりしている中、
一同玉子焼きを肴に、冷たいビールやら、
焼酎のシークヮーサー割りやら、
それぞれ勝手気ままもいいところ。

黄昏どきに今度は江戸前鮨だ。
「栄寿司」のカウンターにズラリ9人が横並び。
みな酔いが回っているはずなのだが、
おのおのビールや麦焼酎をなおも飲み続ける。
「鮨は別腹」を豪語する一派もいたりして
盛んににぎりをパクツいている。
もっともそろそろ晩飯の時間ではあった。
こちらも負けずに、小肌・赤貝・穴子・赤身づけ・
中とろを1カンずつにぎってもらう。

20時を回ってようやく解散となった。
ところが飲み足りない残党が
数人で徒党を組み、合羽橋通りに向かう。
一体何を考えてんだか?

          =つづく=

 
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2007年6月1日(金)

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