「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第245回
メシを食うには暗すぎる「オレキス」(その2)

暗すぎて料理がハッキリ見えない「オレキス」の
最初の1皿は貝類がいっぱいのパエリャ風リゾット。
そうそう、書き忘れたが、このリゾットには
どういうわけか、ホロホロ鳥の脚肉のローストが
1本ちょこんと添えられていたのだった。
どうして魚介のリゾットにホロホロ鳥の脚なのか、
唐突なミスマッチは整合性に欠ける。
思うに胸やももをメインディッシュに使ったあとの
残りを捨てるに忍びなくオマケで付けてきたのだろう。

とにかくそれを食べ終え、1本目の赤ワインは
フレデリック・マニャンの
ポマール・グラン・ゼプノ・プルミエ・クリュ’03年。
これだけは「オレキス」のワインリストから選んだ。
持ち込みの3本を4人で飲むのでは
どうしても物足りなさが残るので
1本追加しておいたわけだ。

2種類のパンに2種類のバター(有塩・無塩)が
サーヴされる。この店のパンは銀座の「ロオジエ」と
同様に「メゾンカイザー」のものらしい。

続いてはラングスティーヌのカプチーノ仕立て。
ほぼ想像通りのルックスとテイストながら
見るからに立派な手長海老はおそらく
駿河湾から揚がったものだろう。
火の通しもデリケートで申し分なし。
この料理を注文したのは2人。
ほかの2人はウロコを残したままカリッと焼いた
甘鯛のポワレにナイフを入れている。

ここで2本目の赤ワインは、クロ・ド・ウルシュルの
ボーヌ・グラン・クリュ'61年。
こいつはたまらなかった。
ブルゴーニュの優れた古酒特有の枯れ具合に脱帽。
本当に素敵な歳の取り方を心得ているものだ。
もしも自分に有り余るほどの資産があったなら
毎晩でも飲んでいたいほどのもの。
ボルドー・ファンには申し訳ないが、
フランスのワインはピノ・ノワールに如くはなし。

主菜の前にデミタスカップでコンソメが供された。
コンソメは苦労の多い割りに見返りが少ないから
資金繰りに困らないホテルやグランメゾンの
専売特許となりつつあるのに、これは感心。
ただし、ビーフではなく、チキンコンソメであった。

選んだメインはくだんのホロホロ鳥。
料理名はずいぶんと仰々しいもので
ホロホロ鳥胸肉の低温調理・
インド風コンデマンとアルガンオイルのジュに
フロマージュブランのソースとあった。
半羽のホロホロ鳥を食べるのに
インドとモロッコとフランスの風味付けとは豪勢な。
先刻のリゾットはひょっとするとこれを注文したから
脚肉を付けてくれたのかもしれない。
出来映えはわざわざ低温調理をしてくれなくとも
普通にローストしてくれればいいのに・・・てな感じ。

若干残った銘酒をフルム・ダンベールと
エポワスで楽しみ、例によってデセールはパス。
周りにはカップルと女性だけのグループが目立つ。
みなさんはこのムードがいいのだろうが、
フランス料理を食べたという充実感がないままに
ディナーが終ったという印象。
ワインが良すぎちゃったかな。

 
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2007年6月8日(金)

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