「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第247回
そよ風の中のランチ(その2)

ちなみにその感じのいいギャルソンは日本人。
ザッとスタッフを見渡してみると
日仏のレイシオはちょうど半々といったところ。

さて彼がすすめてくれた前菜は
サラダ・グルマン(グルメのサラダ)と
アンドゥイエット(豚耳入りソーセージ)。

サラダには鴨の胸肉と砂肝、
それに5年前にも舌鼓を打ったレバーのパテ。
変わらぬ美味しさに安心する。

アンドゥイエットはメニューにあれば、
十中八九は注文するくらいの好物なのだが、
この店のはかなり個性の強い本格的なもので
フランス人の料理人が作ったということが
ストレートに伝わってくる。苦手な人は苦手だろう。
レンズ豆のサラダが添えられていた。

それにしても初夏のそよ風はすがすがしい。
緑のそよ風とはこういう風のことを言うのだろう。
真夏の暑い日が大好きなのだが、
このシーズンもまた、快適この上ない。
日本人が一番好む季節ではなかろうか。
テラスの一画には簡素な野外ステージが設けられ、
1本の枇杷の木がその脇で、可愛い実をつけていた。

周りのテーブルでは黒鯛のブレゼばかりが出ている
メインディシュだが、2皿とも肉系でいった。
鴨もも肉のコンフィとステーク・フリッツ。

鴨のコンフィはビストロやブラッスリーの定番。
柔らかく食味がよいために人気の胸肉は
ローストに使われるので、どうしてももも肉が残る。
これを鴨自身の脂を使って脂煮にするのがコンフィ。
残りものの再生利用から生まれたと言ってしまえば、
なんとも味気ないが、立派な保存食なのだ。
フランス人の中には胸肉のローストよりも
味に深みとコクを併せ持つ、もも肉のコンフィを
好む人がけっして少なくない。

ステーク・フリッツもフランスの
安価なレストランなら、どこにでもあるもの。
ステークは牛肉のハラミであることが多く、
付け合せのフリッツというのは
ポム・ドゥ・テール・フリットのこと。
いわゆるフライドポテトだ。
アメリアカ人はこれをフレンチフライズと呼ぶから
今ではハンバーガーにはなくてはならない脇役も
歴史はフランスのほうがずっと長いのだ。

建物内のトイレに立つと
ダイニングも居心地がよさそうで
バーカウンターが設置されている。
店内に立ち込める匂いがどことなくフランス的。
あまり東京の街では嗅ぐことのない独特のものだ。
トイレの中も他店とはまったく違う匂い。
フランス製の消臭剤でも使っているのだろうか、
フランス風のエキゾチックな芳香が漂っていた。

 
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2007年6月12日(火)

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