「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第260回
目からウロコの水餃子

満足感を抱いてあとにした
「鮨 はま田」の予算は1人1万円ほど。
銀座の「青木」よりは格段に安い。
家賃が違うからこれは当然の帰結だ。

ぶらり山下公園まで出て、
初めて日本を出国したときの
思い出深い大桟橋に回ろうとは考えたものの
気が変わって中華街へ。

山東省の家郷料理の店、
その名も「山東」の店先に行列ができている。
水餃子が人気の店だが、試したことはない。
23時を回ったというのに
いまだ客足が衰えないとは、
よほど美味い餃子を出すのだろう。
翌午前2時まで営業しているようだ。

深夜の散歩もほどほどにホテルに引き返す。
TBSラジオの番組「アクセス」に
23時半から電話出演するためだ。
当夜の「オカザワのよく効く経済サプリ」の
テーマは「母の日商戦」。

6〜7分の出演を無事に済ませ、ふと考える。
「さて、これからどうしよう」
よぎったのは先ほどの「山東」。
原則的に夜食は取らない習慣ながら
旅先ではハナシは別。
言わば、旅のメシは食い捨て、なのだ。

10分後。その「山東」の客の1人になっていた。
注文したのはサッポロ黒ラベルの生中と
お目当ての必食科目・水餃子(735円)。
ほどなく湯気を立てて運ばれ来たる餃子を
数えてみると10個もあった。
5個で500円にしてくれるとありがたいのだが・・。
ケチなこと言うな!ってか?

まずはそのまま1個をパクリ。
ニラがたっぷり入って、コイツはいいぞ!
ガラスの容器に入った赤黒いタレをかけてもう1個。
ややや!このタレが曲モノにして優れモノ。
沙茶醤(サーチャージャン)をベースに
ココナッツの果肉を混ぜ合わせてある。
沙茶醤というのは海老や小魚などの干した魚介に
ねぎ・にんにく・唐辛子の刺激物三羽烏、
いわゆるトリオ・ザ・パンチをブレンドしたものだ。
この媚薬のようなソースに
ツブツブ感のあるココナッツがとてもよくなじむ。

過去において数々の餃子を食べてきたけれど
こういうのは初めての経験。
通常の餃子は、醤油・酢・辣油で食される。
これに練り辛子が加わろうが、豆板醤を使おうが
所詮、薬味は薬味で、脇役の域を脱することはない。
でも「山東」の餃子は違うのである。
主役がタレで、脇役が餃子なのである。
餃子界における主客転倒を身を持って実感した。
♪ 横浜で 出会った 食の物語 ♪

 
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2007年6月29日(金)

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