第262回
血と肉のイタリアン (その2)
「パネ・エ・ヴィーノ」の意欲作、
魚介のクスクスが運ばれた。
運ばれたのだが、手を付ける前に
しばし食事を中断。
7月2日の朝。昨日のことである。
誰にでも見さかいなく咬みつくことから
世紀のカミツキガメ男の異名を取る友里征耶との
共著「グルメバトル」でお世話になった
グラフ社の編集者からメールをいただいた。
実は「グルメバトル」の装丁をしてくれた方が
横浜のイタリアン「パネ・エ・ヴィーノ」の
内装を担当されたデザイナーさんとのこと。
「ふ〜ん、そうなんだ」―世の中、狭いものですな。
ただそれだけのことだが、急に親近感が湧いてくる。
ということで、食事を再開。
と言うか、当夜は別に食事の中断などなく、
偶然を紹介するために、お時間をいただいたワケです。
クスクスの具材は極めて多種多彩。
海老・白身魚・いか・たこ・帆立が
惜しげもなく、たっぷりと使われている。
見た目はシーフードピラフといった景色だ。
そこへ甲殻類の出汁が出て
ネットリと濃厚なソースをザバッとぶっかけた。
人目もはばからず、それを2人で
ワシワシとばかりに食べたのである。
もともとクスクス好きのところへ
ふんだんな魚介&甲殻類の旨みが加わるのだから
もうたまったものではなかった。
本日のベストディッシュはこれでキマリ。
もう1皿の主菜はキャンティ・クラシコのためにも
肉系の料理から選んだグリリアータ・ミスト。
俗に言うミックスグリルである。
長野産健味赤鶏の胸肉、岩手産白金豚の骨付きチョップ、
産地の明記のなかった黒毛和牛のロース、
これが3点盛りできて、赤鶏が一番のお気に入り。
締めのパスタは手打ちタリオリーニの
駿河湾産桜海老と天豆のクリームソース。
クリーム系のパスタはめったに食べないのだが、
たまには舌先が変わっていいものだ。
酒は飲めない代わりに
甘いものには目のない相棒のドルチェ3点盛りは
木苺のジェラート・ティラミス・オレンジタルト。
それを横目に、こちらはエスプレッソだけにしておく。
店内は広々として、テーブルの間隔もゆったり。
凝った内装ではないが、すっきりと洗練されている。
カップルや女性同士の客が目立ち、
男性客は少ないものの、かなりの盛況ぶりだ。
予約のために入店した昼下がりも
客の入りはなかなかだった。
ハマでは人気のイタリア料理店なのだろう。
お勘定は2人で2万円弱。
うん、この店は使える。
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