「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第270
こんな鮨屋があったのか!(その1)

鮨好きの友人からメールが届き、
赤坂にぜひお連れしたい鮨屋があるから
ご足労願いたしとのこと。
店の名を「赤坂 藤」という。
初めて聞く名前に首を傾げた。

赤坂はホームグラウンドではないのだが、
それなりの優良鮨店ならば
何かしらの情報が入ってきてしかるべきだ。
まったくアンテナに引っ掛からないということは
評判もそれほどではなく、
従ってあまり期待もできないのではないかと・・・。

友人とは18時の現地集合を約した。
銀座線の赤坂見附で下車。
みすじ通りを南下して、目的地の角を右折すると
店先に白衣の職人さんが佇んでいる。
戸外で一服でもしているのかと思いきや
とんでもないことだった。
何と店主が客を迎えに出ていたのだ。
初めて訪れる客は外で出迎えているとのこと。
大仰な気がしないでもないが、
こうまで心を配られると
客としてもイヤな気はしない。

店内の左手には立派なつけ台。
右手は壁に向かって数席のカウンター。
ラーメン店じゃあるまいし、何のための
カウンターかと訊ねると、喫煙用のスペースだった。
赤坂という場所柄、社用族が主流を占めて
スモーカーも相当な数に達しよう。
つけ台で吸われるよりは、はるかにマシだ。

その夜は10分ほど友人を待たせてしまい、
それを詫びながらビールで乾杯。
あらためて店主を紹介されて簡単なご挨拶。
すでに十数年もこの地で
店を構えているとおっしゃる。
店の前を何度も通っているのに
ついぞ気が付かなかった。

つまみは親方の思うがままに
にぎりはお好みでスタートした。
初っ端は真子がれいとそのえんがわを
肝入りポン酢で食す。
硬直の解けかかった身肉の締まりがほどよい。

かれいを追いかけるように平政。
ぶりやかんぱちの近縁種の平政は夏に旬を迎える。
ぶりの旬が冬であるのと正反対だ。
脂がさわやかで、歯ざわりはかすかにコリッ。
ぶりと比較してみると
初がつおと戻りがつおほどの開きがある。

佐島の地だこを天然塩と胡麻油で。
この食べ方は韓国風と言えなくもない。
舌先が変わって箸休めにはちょうどいい。
生とり貝は色濃い先端をそのままわさび、
付け根の部分はサッとあぶって七色唐辛子を振る。
この頃、酒はビールから芋焼酎に切り替わる。

           =つづく=

 
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2007年7月13日(金)

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