「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第272回
浅草はロシア料理の宝庫

浅草に多い食べもの屋は何と言っても
単品勝負の日本料理店。
いわゆる鮨・そば・天ぷら・うなぎ・どぜう・ふぐ・
すき焼き・とんかつ・洋食などの非総合和食店だ。
(洋食もあえて和食の1ジャンルとした)

これが神楽坂あたりとなると正反対。
懐石や割烹など総合和食は乱立するのに
鮨・天ぷら・うなぎはその数を減らすことになる。
特殊などぜうは別としても、洋食なんぞは極端に少ない。
元来、花街には洋食屋が多いものだが
数年前に毘沙門天そばの「田原屋」が閉業して以来、
神楽坂の真っ当な洋食は絶滅した。

ハナシを浅草に戻そう。
単品和食の店が多いのはそれが
せっかちな下町っ子の性格にピッタリだからだ。
悠長に懐石料理など食べていられぬ
気性の持ち主ばかりが棲息している街が浅草だ。

そんな浅草に中華料理はともかく
フレンチやイタリアンなど、外国料理の店は少ない。
それがどういうわけか、ロシア料理店となると
東京で一番多いのが浅草なのだ。
新宿にも数軒のロシアンがあるが
人口密度を考慮すれば、断トツで浅草だろう。

これには老舗「マノス」の功績が大きい。
「ストロバヤ」も「ボナフェスタ」も
「マノス」で修業した店主がその後独立したものだ。
「マノス」は年1回ほどのペースで利用しているが
「ストロバヤ」にはとんとご無沙汰で
このたび5年ぶりで訪れた。

ディルをあしらった鮎のマリネで
ロシア産ウォッカのストリチナヤを1杯。
どちらもよく冷えていて蒸し暑い夜には絶好だ。
たらば蟹のサラダもウォッカによく合う。

ワインリストに目を通すとボルドーばかりで
ブルゴーニュはその1割にも満たない。
「これは一体どういうこと?
ご主人がボルドー好きなんでしょ?」
マダムに訊ねてみると、彼女応えて曰く
「いいえ、ワタシが好きなんです!」
マンマ・ミーア!

ようやく選んだジョセフ・ドルーアンの
コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ’98年が
思いのほか秀逸で、何とか窮地を脱したが
とんでもないマダムがいたもんだ。

ボルシチには定番とカレー風味のピロシキ2種。
これはおそらくカレーパンに
ヒントを得たであろうカレー風味に軍配。
鶏もも肉と玉ねぎのパイ包み焼き、
和牛フィレ肉のシャリアピンステーキ、
フランス料理の影響の色濃い料理ながら
ロシアの匂いも楽しめた。
5千円ほどのワイン込み、
2人で1万6千円はフレンチよりも安上がり。

 
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2007年7月17日(火)

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