「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第274回
日本の誇る五大どんぶり (その2)天丼篇

天丼は江戸前が好きである。
揚げ油は胡麻主体にしていただきたい。
野菜類は極力排するのが好みだ。
精進揚げはごはんのおかずが正しいあり方。
揚げ立てを濃いめの丼つゆにザブッとくぐらせて
どんぶりの白飯に盛り付けたのがいい。
天つゆに近い薄めのヤツを天丼の上から
掛け回すスタイルは好まない。

森下は門前仲町と両国の
中間に位置するミニ・グルメタウン。
意外な場所に美味しい店が点在している。
その1軒が天ぷらの「満る善」
新大橋通りと清澄通りのぶつかる交差点を
両国に向かい、北上して1分ほど。

この店は小魚が魅力につき、
海老にはご遠慮願って
きす・めごち・穴子で天丼を作ってもらう。
めそっ子と呼ばれる小ぶりの穴子がとても旨い。
味噌汁に化調を感じるのが残念だが
新香とごはんは文句なしだ。
そうそう、秋から冬にかけて
はぜが入荷していたら、忘れずに!

銀座1丁目。首都高速都心環状線の上に架かる
新富橋のたもとに「天朝」がある。
銀座の北東のはずれと言えばはずれだが、
近くには人気イタリア料理店の
「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」もあったりして
ロケーション自体はそんなに悪くない。
「オチアイ」の2号店の
「ラ・ベットラ・ビス」はすぐ隣りだし、
目の前には京橋公園がある。

昼の天丼の内容は
魚貝が、海老2尾・きす・穴子半身。
野菜が、蓮根・小茄子・青唐。
非常にバランスのよい天丼だ。
かき揚げの不在もありがたい。
かき揚げなら天丼よりも天ばらだろう。
個人的には海老は1尾でいいから
代わりにめごち、あるいはいかを入れてほしいが
あまりぜいたくは言っていられない。

野菜もかぼちゃやさつま芋のように
場所を取るものを排しているところがいい。
ああいうものは江戸前天丼の風情を
いちじるしく害する。
その点、はす・なす・ししとうの小ぶりトリオは
まったく申し分がない。
店主のセンスがモロに伝わってくるのだ。

海老は夜のコースに使うような
上物ではけっしてないが、昼の天丼にはじゅうぶん。
きすと穴子の質は夜に比べても遜色ないものだ。
しじみの赤出し、新香も丁寧なもので
手抜き仕事は一切ない。

最寄り駅は宝町か新富町。
東銀座も都営浅草線のA7番出口からだと遠くはない。

           =つづく=

 
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2007年7月19日(木)

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