「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第275回
日本の誇る五大どんぶり (その3)かつ丼篇

かつ丼は応用性が利くどんぶり。
ゆえにソースかつ丼、味噌かつ丼も
地域によっては絶大な人気を誇っている。

もう30年も前のこと。
有楽町にあった「肉の万世」で食べたかつ丼は
ごはんに敷いたキャベツの上に
ソースと醤油が入り混じったような
味付けのカツが並び、青海苔が振り掛かっていた。

ちょうど同じ頃、東武東上線の寄居駅前の食堂で
食べたかつ丼はソースに浸したカツを
ごはんに乗せただけのシンプルなソースかつ丼。
秩父地方ではソースかつ丼が主流だということは
その後ずいぶん月日が流れてから知った。

名古屋の老舗「みそかつ 矢場とん」が
数年前に東銀座に進出してきた。
名代のみそかつ丼に挑戦してみたものの
八丁味噌に慣れ親しんでいないと若干の抵抗感がある。
名古屋の出身者には赤出し以外は味噌汁じゃないと
断言する人も少なくないから
この地域性だけは今さらとやかく言っても始まらない。

つい1ヶ月前のこと。JR水道橋駅のそばで
偶然見つけたのが「新潟カツ丼 タレカツ」という新店。
珍しいので試してみると、一見ソースかつ丼のようで
実はソースの代わりにタレをくぐらせたタレかつ丼。
タレは天丼の丼つゆに似たタイプ。
とんかつの天丼版とも言える味付けが美味しかった。

さて、かつ丼となれば、何と言っても
玉ねぎと一緒に割り下で煮たところを
玉子でとじてやるのが王道。
店によってはその上に焼き海苔を散らしたり、
三つ葉をあしらったり、多少の個性は発揮しても
大筋の段取りは変わらないものだ。

銀座ソニー通りのビルの地下にある「とん喜」。
「喜」の字は「七」が3つの旧字ながら
この文字とPCは相性が悪く、いまだに表示不能。
多々あるメーカーさんには早急に対応してほしい。
とにかくこの店のかつ丼は非の打ち所がない。
良質の豚肉がラードでカラリと揚がったら
あとは割り下・玉ねぎ・玉子のトリオが
周りを優しく包んで出来上がり。
固めのごはんに、ほどよいつゆっ気が食欲を増す。

もう1軒は、浅草観音裏の「ニュー王将」。
目の前に運ばれたときの存在感は都内随一。
かつ丼はたまたま店で注文するものではなく、
そのかつ丼のためにわざわざその店を
目指して行くものなのだ。
何はともあれ、腹を空かせて出掛けたい。
右手に箸を取り、左手にどんぶりを抱えたときの
ズッシリとくる重量感は、続けて食べると
左手首の腱鞘炎を誘発しやせぬかと、
不安が脳裏をよぎるほど。
かつ丼ファン必訪の聖地が観音様の裏にある。

         =つづく=

 
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2007年7月20日(金)

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