「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第278回
日本の誇る五大どんぶり (その6)鉄火丼篇

今夜はアジア杯の準決勝。
21日のオーストラリア戦は久々に
真剣勝負の国際マッチを観た!という気がした。
アジアの土俵に因縁の宿敵が上がるようになって
これからも両国の死闘を観られるのがうれしい。

振り返れば、さすがにゴール前の殺し屋・高原。
左足ボレー空しく、ヒーローになり損ねた俊輔。
何の論評もするまい、ただただ叫びたい、
神様、仏様、川口様!

惜しむらくはオシム!
勝負どころの今野投入は明らかに采配ミス。
右に回って沈黙した駒野ともども両サイドからの
オーバーラップがまったく機能しなくなった。
でも、PK戦を前にロッカーに引き上げる後姿が
冬ごもりの穴蔵に入ってゆく熊さんみたいに
淋しそうで可愛かったけれど・・・。

何はともあれ3連覇に向けてゴー!だ。
勝負の前の食事にはかつ丼とよく言われるが
勝負しながらの食事は洋の西ではサンドイッチ。
洋の東では鉄火巻きと相場が決まっている。
鉄火巻きは明治時代に賭場で生まれた。
賭場を鉄火場とも呼んだので
まぐろ赤身の海苔巻きを鉄火巻きと称するようになる。

鉄火巻きが明治なら、鉄火丼は大正に現れた。
こちらは鉄火場とは無縁ながら
同じまぐろを使うことから
鉄火巻きが転じたものだろう。

浅草の「紀文寿司」は建物の外観にも店内にも
昔の東京の雰囲気を濃厚に残す鮨屋である。
飾り気のない鉄火丼を食べてみても
この店らしいブレのない昔気質が伝わってくる。
瞬間づけにした赤身と中とろが4切れずつ並んで
赤酢を打たれた酢めしとの調和が何とも言えない。
食べながら、本まぐろとがっぷり四つの
相撲を取っているような実感があるのも楽しい。

優れた鉄火丼を供するもう1軒も浅草から。
最近は海胆やいくらなどを盛り込んだ海鮮丼に
押されてしまって、その存在感が薄れがちな鉄火丼。
やはりこういうクラシックな正統派は
銀座や赤坂よりも浅草に頼るしかないのが現状だ。

東京を代表する江戸前鮨の総本山、
弁天山美家古寿司」に登場願おう。
にぎりならば、平目昆布〆・小肌・穴子が
推奨するに値する御三家だが鉄火丼もすばらしい。
ここではにぎりを抑え気味に食べた客が
最後に小さめのづけ丼で締めるのが一般的。

これを昼間に出掛けて
普通サイズの鉄火丼に仕上げてもらうのがいい。
しかも半分をづけ、もう半分を生の赤身として
いわゆるハーフ&ハーフをお願いするのである。
酢めしにはきざんだ茗荷があしらってあり、
まぐろと茗荷を交互に口に運びながら、
昔の人は旨いモン食ってたわ!
ほとほと感心するJ.C.であった。

          =おわり=

 
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2007年7月25日(水)

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