第280回
マスヒロさん推奨のかつ丼 (その2)
というわけで
♪ は〜るばる来たぜ!にしお〜ぎ 〜♪
というほど遠くはなかったけれど、西荻へ。
途中待ち合わせた相棒と
脇目も振らずに「坂本屋」に向かう。
6年前と変わらぬ
小ぢんまりとした店内は小ざっぱり
5席しかないカウンターも変わらない。
テーブルは1つ増えたのだろうか
8席から10席になっていた。
あるいは前回、数え間違えたのかもしれない。
見覚えのあるお爺ちゃんが健在で、今もお運びさん。
丁寧で親切な客あしらいも相変わらずだ。
狭いながらも居心地のよい食堂は
ひとえにこのお爺ちゃんのおかげと言ってよい。
壁のマスヒロさんの色紙もそのままだった。
しばらくは卓上の品書きとにらめっこする。
かつ丼(750円)を食べに来たのだから
かつ丼はもちろん当確。
6年前より50円値上がっているが
逆に日替わり定食(650円)は50円下がった。
ちなみに本日の日替わりは串かつ。
結局、かつ丼のほかに選んだのは
ラーメン(530円)と
豚肉ピーマン細切り定食(1200円)。
この3品を2人でシェアした。
最初にかつ丼が来て久々のご対面。
サックリ揚がったかつ自信がすでに美味しい。
相棒は生涯ベストのかつ丼だ!と興奮気味だ。
確かにそうかもしれない。
ここ数年で食べたうちではナンバーワンだと思う。
わかめの味噌汁も、きゅうりのキューちゃんも
6年前と寸分も違わないのには
ある種の感慨すら覚えてしまう。
1粒ずつが独立心を持ったごはんもあの日のままだ。
ラーメンの具は、もも肉チャーシュー・
シナチク・ナルト・わかめ。
一口すすったスープに個性はないが
飽きのこないシンプルさは悪くない。
むしろ中細の麺に特徴があった。
日本そばのようにエッジが立って舌を刺激する。
催促しなくともお爺ちゃんは食べやすいように
小どんぶりを2つ用意してくれて
こんな気配りが若いウエイトレスとは一味違うところだ。
ここまでは、かつ丼がイーグルで
ラーメンはなんとかパーセーブ。
ところが最後に現れた豚肉ピーマン細切り炒めが
大きくフェアウェイを外した。
味付けはよいのだが、何せ使う油の量が尋常でない。
角盆で運ばれたのをこれ幸いと
皿の片側を縁に乗せ、傾斜を付けての油切り。
ダブルボギーとはいかないまでもボギーをたたく。
いや1200円という値段を考えれば、やはりダボだ。
何と言ってもこの店はマスヒロさん推奨のかつ丼。
これを食べるために西荻まで出掛けても
けっして悔いは残らない。
|