「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第282回
深川にプロの集まるビストロあり (その2)

夜更けにプロの料理人が集結してくるという噂の
ビストロ「プチ・ニース」のメニューを開いて
思いは散りぢりに乱れる。
試したいものだらけなのである。
当夜の相方は酒を飲むとすぐ真っ赤になる口だが
食べるほうは相当にはかどるので
グッと絞り込んで、なおも未練の残る料理をすべて注文。

生ビールはキリンラガー。
相方はグラスに数杯のワインに備え、
皮切りの飲みものはペリエで自重している。
赤ワインはフェリー・ムニエのモレ・サン・ドニ'03年。
なじみのない造り手ながら、生産量の多くはない
モレ・サン・ドニなら、まず大きく外さない。
ラフやバンカーに打ち込むことはあっても
OBはもとより池ポチャもほとんどない。
はたして、期待通りのフェアウェイキープだ。

ピスタチオが出たが、アミューズはなし。
1皿目は行者にんにくを添えたとこぶしの柔らか煮。
ラヴィゴット・ソースできたが、これは判断ミスで
繊細な食材に対してラヴィゴットはでしゃばり過ぎ。
加えて小ちゃいのが3個だけでは
ものたりないことはなはだしい。

続いてフォワグラとじゃが芋のニョッキのお焼き。
これはポルト酒ソースの甘さがちょいとジャマ。
期待ほどではなく、策士、策に溺れた感否めず。
とは言うものの、水準が低いわけではなく、
プロの集まる店として、最初から評価の
ハードルを高く設定しているのだ。

ドンブ産グルヌイユの素揚げのパスティス風味は
香草とペルノー酒のソースが秀逸ながら
かえる自体に食べるところがほとんどナシ。
単品で2500円の料理なのだから
もう一工夫、求められてしかるべきだ。
ソースはパンで拭い、キレイさっぱりいただいた。

エイ(かすべ)のムニエルは
ザ・ベスト・ディッシュ・オブ・ザ・ナイト。
この料理は本場では焦がしバター、
いわゆるブール・ノワール(黒バター)で
供されるのがポピュラーだと思われるが
ここではブール・ブラン(白バター)風で来た。
シヴレット・ケッパー・トマトが散り
プロヴァンスの香りも立ち上がる。
これには相方の飲むペリエに添えられた
フレッシュ・ライムを搾り掛けて大成功。

ブレス産子鳩とフォワグラのトリュフソースは
キャベツで包んだ蒸し煮スタイル。
もも肉はカリカリに焼かれているものの
エテュヴェよりもシンプルなロティが好みだ。

ワインが少し残ったのでエポワスを1切れ所望。
フェーヴレイのマール・ド・ブルゴーニュも1杯。
相方はルバーブのタルトがお気に召した様子。
迷った末に振り切った料理の数々は
踊りたこの地中海風、稚鮎とたらの芽のフリット、
仔羊フィレ肉燻製のカルパッチョ、海の幸のクレープの
伊勢海老クリームソースといった面々。
キミたちは今度来たときに、食べてあげるからネ。

 
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2007年7月31日(火)

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