「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第283
期待裏切るベルギー料理

東京には珍しいベルギー料理の「シェ・ミカワ」。
赤坂の地に根を下ろしてかなりの年月を経ている。
ベルギーは欧州諸国の中でも美食の国として知られ、
基本的にフランス料理との境界線が
それほど明確ではないから比較もしやすく
首都ブリュッセルのレストランの水準など
パリ以上だとの声を耳にすることすらある。

世界を代表する観光都市パリには
黙っていても観光客が押し寄せるが
ブリュッセルのような中型都市の場合は
そもそも訪れる人々の絶対数に限界がある。
美味しい料理を提供できない店が
生き残るのは至難の業だ。

一夜「シェ・ミカワ」にて
老若男女が一同に会した。
気の合った仲間同士が何かのはずみで
セックス(性別という意味です)と
ジェネレーションのギャップを超えて
一緒に欧州旅行をすることになり、
その夜はその打ち合わせ。

実はその晩、J.C.は確信犯のWブッキング。
まずは赤坂の鮨店で抜けられない会食をこなし、
その後「シェ・ミカワ」に馳せ参じた。
ところが宴たけなわながら、料理に迫力がない。
テーブルにはポテトのフリットや
ごぼうのバターソテーが並ぶだけで
目を惹くものがないから、食欲がまったく湧かない。
もっとも鮨屋のあとではそれも仕方あるまいか。

他の出遅れ組も揃ったところで追加料理を注文する。
最初にベルギー版ブイヤベースのワーテルゾーイ。
本家フランスのブイヤベース、
イタリアのカチュッコ、スペインのカルスエラ。
欧州に数ある魚介類のスープ煮の中でも
クリームベースはこのワーテルゾーイだけだ。
本場では鯉や鰻など川魚が主役。
そこまでは求めないとしても
せめて海の幸を使ってほしいところだが
この店ではなんとチキンで、こりゃあんまり。

もう1品はこれもベルギー名物のカルボナード。
いわゆる牛肉のビール煮はフラマン地方の郷土料理。
初めてブリュッセルで食べたときに
牛肉大和煮の缶詰に似ているのでビックリした。
カルボナードも本場のものとはずいぶん違い、
牛肉にも味付けにも違和感が残った。
にもかかわらず、店内は賑わっている。
こればかりはどうにも説明が付かずに不可解だった。

年々赤坂は新宿や池袋の悪い面ばかりを
イメージさせる卑俗な街になりつつある。
おまけにフレンチもイタリアンも
真っ当なレストランが極端に少ない。
需要が供給を大きく上回る状態は
このベルギー料理店にも追い風となろう。
あるいは赤坂で働く人々は面倒くさがり屋で
青山や六本木に出掛けてゆくことが
わずらわしいのかもしれない。

 
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2007年8月1日(水)

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