「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第285回
わたくし覆面を脱ぎ捨てます (その2)

NHK「Weekend Japanology」の
駅弁ロケは東京駅から始まった。
日本の道路の始まりがお江戸日本橋なら
日本の線路の始まりは皇居前の東京駅。
さすがに日本の鉄道の表玄関、
日本中にこれほど駅弁が集結する駅はほかにない。

2年ほど前の数ヶ月間、
毎週末になると日本橋のオフィスに
缶詰となって1冊の本を書き上げた。
その時期には毎度東京駅で駅弁を買い求め、
腹ごしらえを兼ねながら
オフィスの中の一人旅を楽しんだものだった。
おかげで東京駅の駅弁を50個ほどは
食べたろうか、その後の新製品は別として
見ず知らずの駅弁はただ1つとしてない。

そんなことを思い出しながら
最初の目的地・宇都宮に向かう。
宇都宮は駅弁の発祥地。
今でも宇都宮駅では立ち売りの光景が見られる。
おそらく関東地方ではたった独りの弁当売り、
S本さんに貴重な話を伺ったり、
駅前の駅弁の老舗「松廼家」におジャマしたりする。

今では餃子のほうが有名になった宇都宮で
初めて売り出された駅弁は竹の皮に包まれた
塩むすび2個と黄色いたくあん。
当時と同じものを再現してもらったりもした。

宇都宮の取材を終えて、東京駅へトンボ帰り。
そのまま今度はブルートレインに乗り込んだ。
この寝台特急は大分行きの「富士」と
熊本行きの「はやぶさ」が連結されて疾しり、
九州に入ってから、右と左の泣き別れとなる。
われわれの行く先は大分。
駅の構内にある「梅乃家」の鯖寿司が
すごろくで言うところの「上がり」になる。

通常は17時間で大分に着くはずの「富士」は
途中、横浜近辺で発生した人身事故のせいで
2時間半遅れの到着。さすがに疲れた。
旅の疲れもさることながら
駅弁の食べ疲れが文字通り、
ボディブローとなって体を苦しめる。
こういうときだけは大食漢がうらやましい。
大食い王選手権のチャンピオンなんてのは
一体どういう胃袋をしてるんだろうネ。

相当数やっつけた駅弁の批評は
番組で検証していただくとして、とにもかくにも大分駅。
「梅乃家」の鯖寿司を駅のベンチでいただくと
これが旨い!最後の最後でホームラン一発!
関さばではあるまいが、豊後水道は間違いなかろう。
終わり良ければ、すべて良し。

かくして宇都宮の「松廼家」に始まった駅弁の旅は
大分の「梅乃家」で無事に終わった。
「松」から「梅」へと脇目も振らずに一目散。
こいつは春から縁起がいいやと気分も爽快。

後日、「梅乃家」をネット検索していて目を丸くした。
何と「梅乃家」の事業本部長が宇都宮さんと来た。
こういうのを単なる偶然と片付けられないヤツって
J.C.だけじゃないと思うんだが、いかがざんしょ?

 
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2007年8月3日(金)

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