「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第286回
いまだ不満のローストビーフ (その1)

牛肉をすすんで食べなくなって久しい。
主な理由は3つ。
 (1)高級霜降り肉が高価な上にシツッコい
 (2)レストランで食べなくともどこでも食べられる
 (3)しゃぶしゃぶも焼肉も料理するのは結局は自分
(2)に関しては豚肉も同様ながら、
豚はそれほど高くも脂っこくもないし、
とんかつはやはり外で食べたほうが美味しい。

したがってフレンチやイタリアンでは
仔羊・仔牛・うさぎ・うずら・
鳩・雉(きじ)あたりを注文している。
秋が深まり、猪や山うずらが出回るようになると
心はそちらに奪われることになる。

牛肉を目の前で料理されるのが特に苦手だ。
すき焼きやしゃぶしゃぶのように
煮たり、炊いたりするのがメインならまだしも
鉄板焼きや焼肉を自分からすすんでは食べない。
ステーキに魅力を感じることもなく
それならば、むしろローストビーフが好き。

身肉に肉汁がたっぷり含まれ、
グレービーにも牛肉のエキスがいっぱい。
クレソンとホースラディッシュが脇を固めて
美味しさに拍車がかかるローストビーフは
数ある牛肉料理の中でもっとも好きだ。

溜池の「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」は
ローストビーフの専門店。
本店はLAのビヴァリー・ヒルズにあり、
大手外食産業のワンダーテーブルと提携して
日本上陸を果たした繁盛店だ。

1階のバーで一杯やって
地下のダイニングに下りてゆくと
ホテルでもないのによくもこれだけのスペースを
確保したものだと、感心させるほどの大空間が拡がる。
テーブルの占有率が高く、活気にあふれていて
しばし東京にいることを忘れてしまう。

山高のコック帽をかぶり、料理人と言うよりも
肉塊の切り出し人と呼ぶにふさわしい
白衣の外国人シェフたちが
ローストビーフを収納したサービスワゴンを押して
各テーブルを周回している姿は壮観だ。

ただし、この店では
ローストビーフだけに集中するのが得策。
ほかには食べるものがほとんどないと言ってよい。
アペタイザーの天使の海老のカクテルは
海老の素材が悪く、旨みがまったく感じられない。
クラムチャウダーは貝のストックよりも
牛乳臭さが前面に出て、どうにも締まらない。
今や名物となったスピニングボウル・サラダは
甘ったるいドレッシングが耐え難く、
仕方がないから、毎度好みのドレッシングを
持ち込んでいるくらいなのだ。

          =つづく=

 
←前回記事へ

2007年8月6日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ