「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第287回
いまだ不満のローストビーフ (その2)

東京でもLAでも世に知られた
ローストビーフ専門店の「ロウリーズ」。
東京店の再訪は3年ぶり。
ずっとご無沙汰だったのは
USビーフの輸入が禁止されて以来、
オージービーフを使うようになったからだ。
最近の豪州産牛肉は穀物育ちが増えたとは言え、
まだまだ食味の点で大きく劣る。

牛丼とは使用する部位が異なるものの
US産が入らなくなって「吉野家」が
牛丼の販売を抑制したというのに
プライムリブの「ロウリーズ」が何食わぬ顔で
そのまま牛肉をローストしているのかと思うと、
少々複雑な心境になってくる。

訪問前に電話を入れて確認してみると
USビーフが解禁になって久しいが
いまだに豪州産を使っているとのこと。
店側もUSの美味しさを認めていて
US再開に向け、検討を重ねているものの
客のアンケートによると
豪州産が安心という声が多いらしい。
ふ〜ん、味覚の鋭い人って少ないものだなぁ。

ところが、ある日。
そのあたりの事情に詳しい知り合いから
意外なことを聞いた。
「ロウリーズ」にはまだまだ豪州産の在庫が
大量に倉庫に眠っていて
それがハケるまではUSに戻すつもりなど
サラサラないんだそうだ。
言われてみれば、そんなもんだろうと納得。
仕入れ値の安い豪州産のほうが
はるかに儲かるだろうし、
何のことはない、おためごかしだった。

サービスワゴンがテーブルに到着。
最小のトーキョーカットでさえ、そこそこの量がある。
一段上のカリフォルニアカットが
女性向けらしいが、これとて相当なものだ。
そして薄切り3枚付けのイングリッシュカット。
1938年の創業時から続いている定番の
ロウリーカットというふうに
ボリュームはアップされてゆく。

男女2人ずつのわれら4人は
カリフォルニアとイングリッシュを2人前ずつ注文。
カットの厚さが違うだけで味は同じだが
やはりローストビーフは薄切りの
イングリッシュカットのほうが好み。
滋味に深みがたりないものの
オージービーフが不味いわけでもなく
これはこれで楽しめた。
ただ、以前のこの店の味を知っているからこそ、
いまだに不満が残ってしまう。
ロバート・モンダヴィのピノ・ノワールを
味わいながら、そう思った。

そうそう、忘れるところだった。
サラダのときに冷蔵庫でよぉ〜く冷やした
フォークを出してくれるのだが
あれはあんまり意味がなく、これ見よがしでキザ。
気配りを通り越して、むしろ滑稽ですよ。

 
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2007年8月7日(火)

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