「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第295回
銀座のチキンバスケット

チキンバスケットで有名な「銀座キャンドル」。
以前はみゆき通りのJUNの近くにあった。
まだ学生の頃のことで、乏しい小遣いではせいぜい
数寄屋橋交差点の「不二家」のハンバーグか
旧日劇(現マリオン)前にあった「九重」の
スパゲッティ・ナポリタンがいいところ。

ちょいとぜいたくしても
JRガード下の「サンレモ」でイッパイいっぱい。
それにしても「サンレモ」はデートによく使った。
チンザノ・ヴェルモットが1杯200円の時代だ。

当時は高嶺の花の「銀座キャンドル」も
今では気軽に入れて、銀座の晩メシではむしろ
安上がりの部類に入るくらい。
振り返れば、隔世の感がある。

外堀通りに面した店の階段を
久々に降りてゆくと
店内は活気にあふれて、ほぼ満席状態。
おやおや、こんなに人気の店だったかな?
多少なりとも面食らった。
フードダイアリーをチェックしてみたら
2年半ぶりの来訪なのだが
これほどの盛況を目にしたのは初めてのことだ。

今宵は高校時代の同級生で
職場が「銀座キャンドル」のそばにあるK石クンと
9月の欧州旅行の打ち合わせを兼ねたディナー。
サッポロ黒ラベルの生を一気に飲み干して
比較的安価なスペイン産赤ワイン、
マルケス・デ・リスカル・リゼルバ'04年をお願い。
5千円でおつりのくるワインの
セパージュはスペイン特有のテンプラニーリョ。
CPが極めて高く、大満足のわれら2人。

8月に突入しばかりだというのに
真がきを生で提供していて
取り合えず1人2ピースずつお願いする。
真がきは三陸海岸の宮城県は唐桑の産。
レモンも搾らずにそのままペロリと1個。
かなり濃厚なコク味があるぶん、キレ味には欠けた。
やはり真夏の真がきには脳も舌も
追随できなかったようで、美味しさも中くらい。

定番のチキンバスケットは相変わらずの柔らかさ。
人気の秘密はこの柔らかさで
鳥肉に格別の旨味が凝縮されているわけではない。
いつの間にか1050円から1390円に値上げされていた。
ふ〜ん、三割り増しとはかなり大胆不敵。
あらためて品書きに目を通すと
2年前よりずいぶんと割高感を感じる。
それでもこの盛況ぶりは
世の中の景気が上向いてきたことの証しだろうか。

とろ〜り玉子のチキンコンソメジュレ(785円)は
明らかに不出来。滑らかさがまったくない。
鳥肉の小片がジャマだし、半熟玉子もとろ〜りには
ほど遠く、固まってしまっていた。

よかったのは小海老のガーリックオイル煮。
スペイン料理のガンバス・アル・アヒーヨと
寸分違わぬ料理がテンプラニーリョと鮮やかに連動する。
以前はなかったメニューだが
次回からこの店ではスペインコンビで行くことに決定。

 
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2007年8月17日(金)

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