「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第305回
沖縄の初めての夜(その1)= 沖縄篇

いまだかって沖縄には行ったことがなかった。
行く機会にも恵まれなかったし、
ぜひとも行ってみようという気にもならなかった。
海と空と太陽の魅力は判っているつもりでも
沖縄料理に今ひとつ惹かれるものがなかったのだ。
ここ数年の沖縄ブームで
東京にも多くの沖縄料理店が生まれているが
これは!という店に出会ったことはない。

ニューヨーク在住の友人、
M永クンに誘われて
沖縄で合流することになった。
彼とはかれこれ20年来のつきあいになる。
キャリア名はふせるが(もっとも2社のうちの1社です)
マイレッジを利用すると殊にこの季節は
真っ当な時間帯のチケットが取れず、
那覇空港に到着したのは22時を回っていた。
モノレールで中心街の牧志に入り、
出迎えてくれていたM永と再会する。

さっそく彼が何度か訪れている八重山料理の
「ゆんたじらば」に向かい、カウンターに落ち着く。
八重山群島は南西諸島の最南端、
石垣島や西表島を擁している。
珍しいものが出てきそうだ。

オリオンビールの生で乾杯。
アメリカのビールにも似て
ちょいと甘さの残るオリオンは
けして好きな銘柄ではないが
郷に入れば、郷に従えということもある。

いきなり出たのがスーナの酢の物。
スーナは石垣島の白保の海から揚がったものだ。
この海藻がコリコリと海藻らしからぬ歯ざわり。
なかなかの珍味であった。
ちょっと見は「およげ!たいやきくん」の
鯛焼きに手を振る七色サンゴに似ていなくもない。

続いてはモーイ豆腐。
いばら海苔とかつお出汁の寒天寄せに
ピーナッツソースを掛け回したもので
スーナほどの個性はないが、
暑いさなかの口中に涼風を運んでくれる。

泡盛の琉球クラシックをロックで所望して
お次が島こしょうの葉と桜海老のかき揚げ。
玉ねぎもたっぷり入って甘みいっぱい。
松茸にも似た島こしょうの葉の匂いが印象的。

そしてソーキの塩焼き。
6時間煮込んだソーキをオーヴンで焼き上げる。
味付けは塩・胡椒のみ。
ソーキというのは豚のあばら肉のこと。
いわゆるスペアリブで
三枚肉と並び、沖縄のそばにはなくてはならぬもの。
ビストロ料理のピエ・ド・コション(豚足)を
連想させる食味はコラーゲンのなせるワザだろう。

          =つづく=

 
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2007年8月31日(金)

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