「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第322回
未知の国・スロヴェニア (その2)=欧州篇

リュブリャナの高級ホテル
グランド・ユニオンの朝食は豪華にして多種多彩。
目玉焼きもサニーサイド・アップのほかに
オーヴァー・イージーが並んでいるし、
何よりもピーマン・トマト・ズッキーニなど
野菜のグリルとソテーがうれしい。

この日はヴェネツィアへの移動日。
9時過ぎには中央駅に到着していた。
時間がたっぷりあるので駅のカフェにて
のんべえ組はさっそくビールだ。
良識あるI田さんまでグラスを傾けているのだから
旅の空の下は文字通り、そら恐ろしい。
飲みものを注文しに行ったIア女史が
きこしめした現地のオッさんに口説かれ始め、
結局、テーブルの飲みものすべて、
オッさんのオゴリということに。

ところが天は、神をも怖れぬ所業を
ちゃんとお見通しなのですね。
1本しかないと思っていたプラットフォームで
発車時刻を過ぎているのにまだ来ぬ列車を
「この国のダイヤはいい加減だなぁ」などと
のんびり構えていたわれわれだった。

ところがどっこい、はるか離れた別のホームから
日に1本しかないヴェネツィア行きの
直通列車が出てしまっていたのだった。
次の列車は2時間ほど待つ上に、乗り換えねばならない。
これはコンダクターであるJ.C.のミステイク。
前日に指定券を購入していたため、払い戻しも一切なし。
さてこれからどうしよう。
発券所のオバちゃんと時刻表を
にらみながらの知恵比べが始まった。

最善の選択として浮上したアイデアは
イタリアのトリエステまでタクシーを飛ばすこと。
駅前の運ちゃんと1台150ユーロで交渉成立。
いざ出発と相成った。
タクシーで国境を越えるのは初めての体験で
これもスロヴェニアがEUに
加盟してくれていたからこそだ。

人間万事塞翁が馬。
列車に乗り遅れたおかげでトリエステの街を
歩く楽しみが増え、一同逆に喜んだものだった。
W・チャーチルが冷戦を憂いた名演説の一節、
「バルト海のシュテッティンから
 アドリア海のトリエステまで
 今や鉄のカーテンが下ろされている」
中学生のときに読んだ言葉がよみがえる。

こうしてわれわれを乗せた3台のタクシーは丘を越えて
トリエステの街にすべり下りていったのだった。
駅に荷物を預け、港に臨むヴェルディ劇場界隈を散策。
小樽運河にも似たカナル・グランデ近くの
マーケットに屋台がいくつも出ていて、そこで昼食。
各自めいめい、好きなものを買い求める。

8ユーロの仔牛のスペアリブがとてもいい。
ちゃっかりリュブリャナの駅前で
テイクアウトしておいた香港風焼きビーフンの
包みを開けたりもして
太陽の下のビールを満喫したのだった。

 
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2007年9月25日(火)

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