「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第324回
海の都の食物語 (その2)=欧州篇

サンマルコ寺院の裏手にある
「Antica Sacrestia」でのディナーはいよいよたけなわ。
墨いかの墨煮のせいで、みんなの口元が黒ずんできた。
付合わせのポレンタがいかにもヴェネツィアらしい。
ヴェネト州では挽き割りとうもろこしの
ポレンタをよく食べる。

イタリアでは、ぜひ仔牛を食べねばと
カメリエーレ(接客係)のオススメを訊ねると
その応えはボロネーゼ。
何でまたヴェネツィアでボローニャ料理を
食わにゃならんの?という疑問も湧くが、
何のことはないサルティンボッカのことだった。
生ハムとモッツァレッラとの重ね焼きで
これはイタリアの誇る国民的料理。
3人前をお願いして、みなの評判はこれがベスト。

シチリア島産のデザート白ワインの
ピエトラ・ネーラ’04年で締めて、夜の街に出る。
しばらくそぞろ歩いてヴァポレット(水上バス)と電車で
メストレに戻り、飲み足りないので
バーを探すが、駅の周りはすべて閉店。
自室に戻り、M由子とMりを相手に冷蔵庫のビール。
さすがに若者はまだまだゲンキ。
こうしてヴェネツィアの最初の夜は更けていった。

翌朝の目覚めはすっきり。
リュブリャナのホテルより簡素な朝食を軽く済ませ、
一同協議の結果、サンタルチア駅前から
水上タクシーをチャーターすることに。
カナル・グランデ(大運河)は通らず、
外海に出て潮風を頬に受けながら
海の都の美しさに見惚れた。
アカデミア橋で下船し、予約は取っていないものの
かねてより目当ての魚介専門店、1951年創業の
「Da Ignazio(ダ・イニャッツィオ)」を目指す。

緑したたるぶどう棚の下に8人並んで仲良く昼食。
そうそう幹事役のA子女史は
現地に着いたらお役ご免とばかり、
案内役をJ.C.に任せ、
ロミオとジュリエットゆかりの地・ヴェローナへと
単独日帰り旅行に出掛けたのだった。

この店の料理もおおむね好評。
シーフードなのに赤ワインの
バルベーラ・ダスティのブライダ'03年を頼み、
まずはヴェネツィア名物・くも蟹のサラダ。
続いて同じく、くも蟹のタリオリーニ、
白身魚ラグーのスパゲッティ・トマトソース、
小海老とルッコラのリゾットの3品を
2皿ずつ注文して分け合った。
パスタに歯応えが残り、ソースにはパンチのある
スパゲッティが上々の出来映え。

昼食後、ゴンドラでの周航派と
徒歩による散策派の二手に4人ずつ分散しての別行動。
S崎さん率いる周航派と分かれたJ.C.率いる散策派の
顔ぶれはI田さん・M由子・Mりの3人。
ちなみにI田さんとM由子は母娘の間柄。
ツアー唯一の血縁関係で結ばれた仲である。
このあたりでバラしてしまうと
神保町の行きつけの酒&食事処「Y」を
親子で切り盛りする2人なのである。

        =つづく=

 
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2007年9月27日(木)

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