「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第328回
ヘンなイタリア人現る (その2)=欧州篇

中島みゆきを歌うヘンなイタリア人に
車内は引っかき回されっ放し。
一人静かなのが、もとい、一匹静かなのが
彼のペットのうさちゃんだ。
この御仁、見れば見るほどおかしなオトコ。
じゅうぶんにオカマ風でもあるし、
目がイッチャッてる感じが無きにしも非ず。
休みなくしゃべり続けるのには周りもウンザリ。

そうこうしているうちに列車はトリノに到着。
折際に歌ったうさぎオトコの最後の歌が振るっている。
「♪さよな〜らが 言えないで〜 
  どこま〜でも 歩いたね〜
  街あ〜かり さえ消えて〜
  足お〜とが 淋しいよ〜 ♪」
なんと吉田拓郎の「マークU」ではないの!
たぶんデビューシングル「イメージの詩」の
B面に収録されていたように思う。
それとも「旅の宿」とのカップリングかな?

うさぎオトコの呪縛から解き放たれて
一同はトランク引き引き、ホテル・ピエモンテーゼへ。
ホテルのフロントに今宵お目当てのリストランテ、
「L’Antica Sinoira(ランティカ・シノイラ)」の
予約を入れてもらうと、
客の中にイタリア語のできる人間がいるかというお尋ね。
店に到着して、その意味を初めて理解した。

オーナーのシニョールはフロアで接客、
シニョーラと若い男性が厨房で料理を担当。
この3人すべて、英語をほとんど解さないのであった。
したがって手書きのメニューの説明は
伊・仏・英語のごっちゃ混ぜ。
レストランのメニューに限っては
8割がたイタリア語を理解するJ.C.だが
ピエモンテ州の郷土料理はその限りではない。
でも何とか概要を把握するに至った。

まずは飲みものから。
バローロ&バルバレスコのふるさとでは
ビールを置かない店が多く、この店もご他聞にもれず。
代わりにガス入りのミネラルウォーターで乾杯し、
さっそくの白ワインはガヴィ・ディ・ガヴィ'06年。
そして赤がマルケージ・ディ・バローロの
バルバレスコ・リゼルヴァ'99年と
店主が強く推したダミラーノの
バローロ・カンヌービ'01年。
赤はともによかったが、さすがに店主推奨の1本は
一頭抜きん出ていたのだった。

ヴィテッロ・トンナート(仔牛のツナマヨネーズ)で
相性の妙を味わい尽くし、
季節のポルチーニはシンプルなソテーと
タリアテッレのクリームソースで変化を楽しむ。
サルシッチャとローズマリーのタリオリーニ、
半干し馬肉薄切りの赤ワインソースと来て
そのあとの牛肉のタルタルステーキがすばらしい。
白トリュフのオイルとレモン汁で風味付けをして
その上にスライスしたポルチーニが散っている。
バローロとのシンクロナイズも特筆に価する。

旅行中の野菜不足を解消しようと
まずはほうれん草のバター炒め。
そして玉ねぎやラディッキオや赤&黄ピーマンを
入れてもらった五目野菜炒めを特別にお願い。
甘党はドルチェ、辛党はグラッパで締めたその夜の
晩餐はまたまた花丸ジルシと相成り、一同満面の笑み。

 
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2007年10月3日(水)

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