「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第329回
食の都・リヨンへ (その1)=欧州篇

ヴェネツィアからリヨンに移動する際、
その中継地として立ち寄ったトリノ。
野球に例えれば、投手の継投における
ワンポイント・リリーフを託したのだが
思いがけなくと言おうか、さすがにピエモンテの
州都と言うべきか、食事には大満足の一夜となった。

翌朝は早めの仕掛けでトリノを出発。
まずは列車乗り換え駅のシャンベリーを目指す。
途中、伊仏国境では
フランス税関によるアトランダムの荷物検査。
全員を調べるのではなく、
トランクを開けさせられたのはK石クンと
Iアさんのお二方。
何となくフランスらしくもないギスギス感が漂う。

シャンベリーはささやかな思い出の町。
まだ美しい十代?だった1970年代に
初めての欧州一人旅。
スイスのローザンヌからフランスのグルノーブルに
抜ける途中に、やはり列車乗り換えのための待ち合わせ。
フレンチ・フランへの両替を済ませておらず、
たまたま乗り合わせたフランスの女子高生に
一杯のお茶をご馳走になったのだった。
そのカフェを探してみたものの、
構内の様子は打って変わって、まるで別世界のようだ。
あれから三十数年が経過しているのだ、さもありなん。

正午過ぎにリヨン到着。
タクシーでボスコロ・グランド・ホテルへ。
旅の荷を解くやいなや、
すでにフランス通を自認するH大の案内で
「Bistrot de Lyon」に向かい、少々遅めの昼食。

この日は夜にミシュラン二つ星の
「Leon de Lyon」が控えているので
軽めにワンディッシュだけで済ませることに。
ルジェ(赤ひめじ)のソテーをお願いした。

地中海名物のルジェは南仏やギリシャ、
そして北アフリカのチュニジアあたりでも
珍重されるサカナだ。
関東ではあまりお目に掛からぬが、
関西ではわりとポピュラーで、山口県の萩では
よく水揚げされ、地元の居酒屋でも食べられる。

このときのルジェはかなり大ぶりで大味。
少々匂ったりもして、不出来であった。
ほかのメンバーが頼んだニース風サラダや
アンドゥイエット(臓物のソーセージ)の
おすそ分けをいただくも、概して料理は
大雑把で繊細さを失っている。

食後はまず両替。
目抜きのレピュブリック通りの両替商の
交換レートは1ユーロ=168円だった。
オペラ座・市庁舎からソーヌ川を渡り、旧市街へ。
歩いていると、路上にはやたらに犬の糞が多い。
そのせいか、街全体が薄汚く見えてきて
リヨン市民の民度を疑いたくもなる。
実際、ローヌ川・ソーヌ川の河岸の景観を除くと
この町には輝きがまったく見当たらない。

           =つづく=

 
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2007年10月4日(木)

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