「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第332回
幻のロマネ・コンティ (その2)=欧州篇

ロマネ・コンティの畑が目と鼻の先だというのに
あえなくリタイアを余儀なくされたオトコとは
何を隠そう、J.C.その人であった。
志半ばにして病に倒れたわけではなく、
ましてや腹痛を起こしてトイレに駆け込んだのでもない。

その日は折悪しく木曜日。
ときにブルゴーニュは16時15分であった。
7時間早い東京は23時15分。
世間よりずっと遅れて取った夏休みだったのに
TBSは容赦がなく、生放送の「アクセス」が
立ちはだかっていたのである。

あわててシャトー・ホテルの
「Chateau de Gilly」にチェックイン。
部屋に入ったのが16時25分だった。
ほどなく鳴った電話のベルに応えて放送が始まる。
この日はナビゲーターの渡辺真理に突っ込まれっ放し。
たった7分の放送のために
ロマネ・コンティをあきらめた無念と重ねれば、
泣きっ面に蜂とはこのことだ。

それにしても立派なホテルだ。
レストランにはこだわるものの、
ホテルは清潔でありさえすれば、それでいい、
というタイプのJ.C.には、猫に小判もいいところ。

M由子が摘んできたロマネ・コンティの
隣りの畑のぶどうなんぞを空しくしゃぶりながら
シャニーの三つ星「Lameloise(ラムロワーズ)」へ。
当然、ここにもビールはない。
悪知恵を働かせ、ヴーヴ・クリコで
乾杯のフリだけして目の前のカフェに一目散。
クローネンブールの生を一気にあおり、トンボ返りだ。
ゆったりしたスペースが自慢の一軒家は
和製仏語で表現すれば、まさにグランメゾン。
われわれのテーブルは個室風の一画にあった。

白ワインはエティエンヌ・ソゼの
ピュリニー・モンラッシェ'04年。
赤がフォルジュの
モレ・サン・ドニ・プルミエ・クリュ'98年。
オードヴルにエクルヴィス(ざりがに)尽くしを
注文したというのにアミューズでもそれが出て不機嫌。
食材の重複はもっとも嫌うところだ。
テーブルを見渡すと、やたらに串刺しモノが目立つ。
おそらく日本製だろう、シャレた竹串を使っているが、
日本では焼き鳥屋が使用するもの。
フランス人には受けても、日本人なら鼻白む。

メインはグルヌイユ(食用がえる)のソテー。
昨夜のこともあって、ボリューム少な目の料理を選んだ。
図らずもざりがに&かえるで、淡水生物シリーズとなった。
A子から譲り受けたシャラン産の鴨胸肉ロティ、
Mりから回って来た乳飲み仔牛ほほ肉のブイヨン煮、
前菜よりも主菜のほうに三つ星の実力を認める。
多彩な自家製パンもきわめて秀逸だった。
グラスに残ったワインに合わせて
ウォッシュチーズのエポワスを灰に埋ずめて
熟成させたエジサンドレを楽しんだ。

一同がデセールに夢中になっている間には
甘いものを口にしないM由子と一緒に抜け出し、
今度はカフェとは反対側のバーで再び仏産ビールを。
デザート嫌いに取って、デザートタイムほど
手持ち無沙汰で退屈な時間はないのである。

 
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2007年10月9日(火)

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