「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第335回
パリのベトナム料理店 (その2)=欧州篇

パリに到着して最初の食事は
ベトナム料理店「金蓮」にてのディネ。
定番のゴイ・クン(生春巻き)と
チャー・ジオ(揚げ春巻き)に始まり、
タマリンド風味のスープのカンチュア・ミー。
タイ風チヂミと言うか、広島焼きと言うか、
とにかくクレープの上に
肉や野菜を盛り込んだパン・セオ。
まず第1ラウンドには、そんなところを注文する。

思えば、東京を離れてちょうど1週間。
その間、ずっと訪れた国々の料理を食べ続けてきたのだ。
前半戦のリュブリャナは離日して間もない時期だし、
料理水準の高さもあって、なんの不自由もなくクリア。
イタリアでも、ヴェネツィアにおける魚介中心の
パスタやリゾットはみな大好きだから、まったく問題なく、
トリノでは仔牛に馬肉に生の牛肉まで堪能してきた。

それがフランスに入って、様相が一変した感さえある。
移動続きでちょうど疲れが出る頃に
質より量を実感させる料理の大皿を
目の前にドンと出されると、
もうそれだけでお腹一杯、
ギヴアップ宣言する者が続出するのもムリはない。

日本食にはほど遠いが、アジアの味に一同ほっと一息。
ベトナム料理店「金蓮」にての第2ラウンドは
やはり麺類・ごはんものの要望が多い。
トンキン風牛肉のフォーはあっさり味の
ベトナム風肉うどん。
ドクダミやスイートバジルなどの香草が
たっぷりと別盛りで添えられる。
この強烈な匂いとエグミが活力の素。
やさしい味付けのスープとつるつるの麺も
旅の疲れを癒すにじゅうぶん。

続いては、野菜不足の解消に
一役買ってもらうためのチョップ・スーエイ。
アメリカの中華料理店あたりでは
中華丼のアタマのようなものが出てくるが
この店では五目野菜炒めといった風。
ただし魚介は見当たらず、肉もあまり入っていない。

そして締めのガーカリー(鶏肉のカレー)。
もちろんライスを忘れずに別注文。
インドのカレーよりはスパイスがぐっと控えめだ。
その代わりに風味付けの
主役となるのがココナッツミルク。
それでもタイカレーほどには主張しない。
長粒のインディカ米との相性もよく、
おおむね好評であった。

店内もテラスも客であふれ返ってかなりの盛況ぶり。
アジア系の客もわれわれを含めて
ちらりほらりと見かけるのだが、
テーブルを占めているのは、ほとんどがフランス人。
ロンドンにインド料理店が多いように
パリではベトナムや北アフリカのレストランが目立つ。
これを植民地政策の負の遺産とは言わぬだろう。

このあと、お疲れ組はホテルに直帰し、
残党はサンジェルマン・デ・プレのカフェへ。
夜遊び組の面子は
Iア・A子・Mり・K石、そしてJ.C.。
カフェでグラスを傾けているときほど
パリにいることを実感する時間はない。

 
←前回記事へ

2007年10月12日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ