「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第339回
パリ最後の日 =欧州篇

とうとうこの旅行、最後の夜が明けた。
その夜のレッドアイ・フライトで成田に飛ぶのだ。
投宿している「オペラ・サン・ラザール」での朝食は
半熟のゆで玉子1個に、ハムとサラミを1枚ずつ。
あとはクロワッサンとテオレ。

ロビーに集合してみると、早くも事件勃発。
昨夜、ホテルに戻らずに
恋人のもとに走ったM由子が
アパルトマンに閉じ込められているという。
何でもH大が早朝に仕事に出掛けた際、
外からロックが掛かってしまい、
中にいるM由子がそれを解除できない状態だという。
母親のI田さんと、世話役のA子女史が救出に出動。

残されたメンバーは揃ってカルチェラタンの
先にあるムフタール通りに向かった。
両側に魚屋や肉屋が並ぶ市場のような通りが楽しい。
日本の鮮魚店とは異なる品揃えのサカナたちは
眺めていて飽きることはない。

デジュネは「La Mosuquee(ラ・モスケ)」にて。
礼拝所のあるイスラム寺院の中庭のレストランで
北アフリカ、いわゆるマグレブ諸国(日の沈む所)の
料理を食べさせてくれる。
さすがにアルコールは禁止でビールすらもない。
ここは発泡性ミネラルウォーターで我慢。

救出に向かった2人も合流して8人での昼食。
小海老と玉子を包んだブリック(春巻き)に
クミンの香るモロッコ風サラダで始めて
メインは彼の地の二大料理であるところの
骨付き仔羊のクスクスと鶏肉のタジンを。
すべて2人前ずつ注文し、これを8人で分け合った。
日本人の胃袋にはこれでちょうどよい。

羊肉は仔羊というより、親羊に近いもので相当な迫力だ。
鶏肉もひな鶏にはほど遠く、そのぶんかなり大味。
ただし味付けはパリ市内のマグレブ料理店には
かなわぬものの、最低限の水準はクリアしている。
日本でもおなじみのクスクスはともかく、
タジンは初めて食べる者も多く、
鶏肉自体よりも一緒に煮込まれた
プルーンやアーモンドに舌鼓を打っている。

食後、この日も自由行動となった。
J.C.はこの旅行での食日記を整理するため、
独りでモンパルナスのカフェに向かう。
数時間費やして資料をまとめ上げ、
気がつけば、時計は17時を回っている。

ホテルの集合が20時なので
そろそろ軽い夕食をとらねば。
モンパルナス界隈には
サルトルとボーヴォワールも通ったカフェや
ブラッスリーにことかかないが、
ふとマレー地区に行ってみたくなり、メトロに乗る。

マレーのクレープ専門店「Suzette(シュゼット)」へ。
クローネンブールの小瓶とガレット・ブルジョワをお願い。
ほうれん草にトマトとバジルとチーズがあしらわれている。
ブルターニュ名物、そば粉のクレープのガレットとくれば
シードルも頼まぬわけにはいかない。
軽く発泡したりんご酒を味わいながら
パリ最後の夜を独り楽しむ。

 
←前回記事へ

2007年10月18日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ